この前お寿司屋さんに行ったとき、魚へんの漢字がぎっしり書かれた湯呑を見つけました。
この字は何の魚だろう?魚へんに春?春の魚かな?など、漢字のつくりの部分で名前を予想して、家族で遊んでいました。
子供達も同じような漢字がたくさん並んでいるのを見て、興味深々でしたね。
魚へんの漢字は195個もあります。種類の多さに驚きますよね。
魚の特徴は、漢字のつくりの部分に表されているものが多いように感じます。
例えば「鰯」これは「イワシ」と読みます。
鰯は、海では餌になる事も多く、海から出すとすぐに弱ってしまう事からこの漢字になったそうです。
意味がそのまま名前の漢字になっています。面白いですね。
今回はたくさんの魚へんの漢字の中から、魚へんに虎「鯱」について、深く追求していきたいと思います。
動物の中では肉食で獰猛と言われている、虎がつく海の生き物は一体どんな生き物なのでしょうか。
魚へんに虎「鯱」はなんて読む?

気になる事
「鯱」は、音読みで「コ」、訓読みで「しゃち」「しゃちほこ」と読みます。
同じ読み方でも「しゃち」と、「しゃちほこ」は全く関係ありません。
「しゃち」と「しゃちほこ」は別の時期に、全く関係のない由来で呼ばれるようになりました。
鯱の成り立ち

なんですか?
シャチは魚に虎、まさしくそのままで「虎のように獰猛な海獣」という意味合いでつけられました。
実際に今でも「海のギャング」と呼ばれています。
シャチはクジラ目マイルカ科に属する哺乳類です。
平均で約6mもあり、大きいものでは10m近くまで育つものもいます。
腹面は白色で、背面は黒色です。世界中の海で生息しており、もちろん日本の海にもいます。
学名が「オルキヌス・オルカ」(ラテン語で冥界からの魔物という意味)であり、オルカとも呼ばれています。また、英語では「killer whale」(クジラ殺し・殺し屋クジラ)とも呼ばれています。
白黒のコントラストがかわいいシャチですが、自分より大きいクジラをも食べてしまいます。
とても狂暴な生物ですね。
また、食べることが出来る餌の種類が多く、世界中どこの海でも生息できるようです。
私達が思っているよりシャチは、体がとても強いのですね。
シャチはシャチホコと関係あるの?

意外な事に
先程の読み方でも書きましたが、「シャチ」と「シャチホコ」は全く関係がありません。
様々な説がありますが、多くは「シャチ」より、「シャチホコ」の方が先に「鯱」と記されていたとされています。
シャチホコは、中国の人が考えた、想像上の生き物である「鯱」(シャチ)の形をした飾りのことです。
愛知県にある名古屋城の、金のシャチホコが有名ですよね。
一番初めにシャチホコが城に飾られたのは、織田信長の安土城です。
今から約440年も前のことになります。
想像上のシャチホコは、頭が竜、胴体は魚、背中には鋭い棘が生えており、口には牙があります。
江戸時代の書物には、シャチホコはかなり獰猛な生き物として記されています。
しかし、火災の際には空を飛んでやって来て、口から水を出し、火を消す守り神でもあるそうです。
木造建築で火消しの力もまだまだ弱かった昔。城主達は、火災にならないよう願いを込めて、シャチホコを城の一番上に飾ったとされています。
また、シャチホコのホコは、空に向かってそり立った尻尾が、鉾(ほこ)を逆さにした形に似ていることから付けられました。
海にいる白黒のシャチは、明治時代からシャチと呼ばれ始めました。
それまではなんと、クジラと呼ばれていたそうです。
ヨーロッパ人がクジラとシャチを区別して呼んでいたことに刺激され、日本人も区別して呼ぶことにしたという説があります。
「鯱」と間違いやすい漢字
「鯱」は強そうなイメージの漢字です。それと似たものを紹介します。
「海豹」これは「アザラシ」です。

アザラシ
豹という漢字から、肉食の強そうな海の生き物を連想するのではないのでしょうか?
「海獺」「猟虎」「海猟」これは「ラッコ」です。

ラッコ
かわいらしいくプカプカと海に浮いているイメージのラッコですが、漢字を見ると狂暴そうですね。
ラッコは肉食目で、寒さに強く、大人の雄では大型犬サイズになるものもいます。
「海象」「海馬」これは「セイウチ」です。

セイウチ
象という字から、セイウチの大きくてどっしりとしたイメージがわいてきますね。
海岸で寝ているイメージがあります。しかし牙はするどく、体重は3トンもあり、大きいものでは1メートルくらいあるといわれています。
「雨虎」これは「アメフラシ」です。
ナメクジに似た軟体動物です。
なぜ虎という漢字が使われているのかは、調べてもわかりませんでした。
虎という漢字が使われているので、どんな恐ろしい生物かと思いましたが、小さめの柔らかそうな生き物でした。
「虎魚」これは「オコゼ」です。
毒針を持ち、恐ろしい風貌の魚です。そのことから、当て字で「虎」という漢字が付けられたそうです。
【鯱】魚へんに虎でなんて読む?まとめ

「鯱」魚へんに虎でなんと読む?
今回、「鯱」という漢字について深掘していきました。
今までシャチと聞けば、水族館にいるかわいい生き物としか思っていなかったので、意味や成り立ちを知って驚いたことがいくつかありました。
虎の様にとても獰猛なのですね。
漢字そのものです。
子供の頃水族館でシャチのぬいぐるみを買って、一緒に寝ていたのが懐かしいです。
また、「鯱」を「シャチホコ」と呼ぶことを初めて知った方も多いのではないでしょうか。
「シャチ」とだけしか読めないと、間違って覚えていたのではないでしょうか。
一つの「鯱」にはたくさんの意味が含まれています。
私の旦那は釣りをするので、魚の名前に詳しいです。
しかし、いざ漢字を見ると読めないものも、間違って読んでいるものもたくさんありました。
魚へんの漢字は、由来まで調べて初めて読み方に納得するものも多いのではないでしょうか。
今回調べた「鯱」は魚の虎、すなわち魚の獣、とても恐ろしいですね。水族館のかわいらしい人気者は、本当は恐ろしい生き物であり、城の一番上に飾られる重要な飾りでもありました。
魚へんの漢字はまだまだ種類があるので、気になった漢字は成り立ちを深く調べてみるのも面白いかもしれません。
「鯱」のように読み方が1つではないものが、まだまだあるのかもしれません。
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