「市民農園の年間スケジュールをまとめた資料が欲しい!」と思っていませんか?
そんな方のために、「いつ何の作業をして、何を植えたり、何を収穫するのか」 を月別にわかりやすく説明します。
ポイントも解説しているので参考にしていただけると幸いです。
市民農園 年間栽培スケジュール表
年間スケジュールのイメージをわかりやすくするため、以下の表を参考にしてください。
3月の作業
ぼかし肥料の仕込み
3月は、市民農園の当選結果がわかる時期です。 心弾ませて、春夏栽培の計画を立てている頃かもしれませんね!
栽培を成功させるには、3月の下旬頃から「ぼかし肥料の仕込み」をはじめましょう。 「桜の開花時期の恒例行事」にすれば覚えやすいでしょう。
ぼかし肥料の仕込み時期には注意点があります。
「段取りが早すぎ」「早い方がいいだろう」と2月頃の寒い時期に仕込むことはやめてください。 寒い時期に仕込みをはじめると、発酵温度が上昇しないので時間がかかります。
菜園に必要な道具をそろえよう
これから家庭菜園をはじめるなら、道具をそろえましょう。
市民農園に必要な道具
これらの道具は、一度にすべてをそろえる必要はありません。
また、農園によっては道具がそろっている場所もあるので、必要に応じてそろえましょう。
あると便利な道具
他にもあると便利な道具を紹介します。 以下に紹介する道具は購入すると非常に高くつくので、手作りがおすすめです。
ホームセンターや園芸店にも専用道具がありますが、購入するとなると少し高くつきます。 身近なものであれば新たに購入する必要もなく、経済的なのでぜひ作ってみましょう。
植え付け
- ジャガイモの植え付け
4月の作業
畑の準備
4月初旬には、畑の整地と苦土石灰の散布を行います。
市民農園を借りて4月からはじめる人は、4月でもジャガイモは間に合います。 急いで植える場所に苦土石灰だけをまき、耕してからすぐに植えましょう。
4月には、本格的に春夏野菜を栽培する準備を行います。 「畑の準備を行う」作業手順は以下の通りです。
すべてを一度に行うと大変なので、日取りを決めて計画的に行いましょう。
植え付け・収穫等の作業
植え付け
- サトイモの定植
- ゴボウの袋栽培の準備と播種
収穫
- 春キャベツ
- 春ダイコン
その他
- 永年作物ゾーンの草取り
- ソラマメなどの誘引作業
周囲につられて苗を買わない
4月になれば、ホームセンターや園芸店で春夏野菜の苗の販売を開始します。
しかし「4月から畑を借りられるから、先に苗を買っておこう!」と思わないようにしてください。 これが失敗の原因になります。
4月でも場所によっては遅霜があり、地温も下がるので苗に悪影響を与えます。
昨今の傾向として、ホームセンターや園芸店の販売時期が適期より早くなっています。 「店頭に並んでいるから」と、つい買ってしまいがちです。
しかし、4月の地温が低い時に植えても、5月の地温が少し高くなってから植えても、収穫の開始時期はほとんど変わりません。
周りの人や店頭のキャッチコピーに惑わされることなく、5月に入ってから苗を購入しましょう。
苗は購入したその日に定植すること
苗の定植は「買ったその日に植える」のが基本です。 苗を買ってきたら、畝の黒マルチに穴をあけて苗を植えます。
以下に2通りの植え方を説明します。 どちらのやり方でも構わないので、やり易い方で作業してください。
「苗をポットのまま水に浸す植え方」の場合、定植後の水やりは行いません。 はじめにしっかり苗に水を吸わせているので、日中にしおれても夕方には元気になります。
逆に「簡単な植え方」では、苗より先に土が水を吸収しているため、苗に水分がたりていません。 夕方に苗の状況を見て、しおれているようなら水やりを行いましょう。
被覆資材の利用方法
被覆資材は、毎日畑にいけない人におすすめする利用方法です。
野菜栽培は、マルチやべたがけ資材を使わなくても野菜は育ちます。 しかし、マルチを利用すれば害虫対策や土壌温度の保温、雨風を防ぐ効果があります。
春や秋は、不織布や寒冷紗などを利用し、冬は透明なビニール資材を使います。
寒冷紗の利用方法は以下の2通りです。
- 畝に密着するように被覆する方法
- ポールや支柱を使って作物との間に空間をつくる「浮きがけ」する方法
ニンジンや小さな葉菜類などは密集して栽培するので、畝ごとマルチをかけます。
果菜類などは肥料袋の底を切って、支柱を立てて円柱状に囲ってやれば暴風や日差し、急な低温から守れます。
5月の作業
苗の購入と植え付け
5月のゴールデンウィークは待ちに待った、野菜の苗を買う時期です。 菜園マップに沿って、予定の苗と本数を計画通りに購入しましょう。
ついつい目移りして、衝動買いや買い過ぎをしないように注意しましょう。
最近のホームセンターや園芸店では、植える時期より早めに販売する傾向にあるので、売り切れている可能性もあります。
そのため「4月頃、早めに購入しておこう」と思うかもしれませんが、「仕方ない、違う店舗を探してみよう」と思うことが成功の秘訣です。
5月の作業は以下の通りです。
植え付け・収穫等の作業
春夏野菜の苗の植え付け
以下のような野菜を植え付けます。
- キュウリ
- ナス
- トマト
- ピーマン
- シシトウ
- トウガラシ
- トウモロコシ
- スイカ
- カボチャ
収穫
- ソラマメ
- エンドウ
- ニラ
- アシタバ
- イチゴ
6月の作業
6月に入ると、梅雨の時期を迎えます。 また、気温も暖かくなって、野菜も日増しに成長します。
草刈り
この時期になると野菜の成長は嬉しいのですが、雑草の成長も勢いを増してきます。 雑草を放置したり手を抜くと、野菜より繁殖力が強いので手に負えません。
長期滞在している人は、毎日のように草刈りを行うことをおすすめします。 週1回通園される人は、雨が降っていても覚悟を決めて草刈りを行ってください。
草刈りは大変ですが、周囲の人たちと波風立てずにお付き合いする上でも、とても大切な作業です。
刈り取った草は廃棄せず、黒マルチの上や畝間に置けば、直射日光による地温上昇を和らげる働きがあります。
収穫
以下のような野菜を収穫します。
- ジャガイモ
- ツルなしインゲン
- タマネギ
- エンドウ
6月下旬頃にはキュウリやナスの収穫もはじまりますが、はじめての収穫はできるだけ早めに取りましょう。
初収穫が遅れると、実に栄養を吸収されて樹勢の勢いがなくなります。 結果として、収穫量にも影響がでます。
その他の作業
ツルや枝の誘引作業
果菜類は生育に合わせて支柱を立て、苗が倒れないように茎と支柱をヒモで結びます。
また、樹勢が落ちないよう、支柱を利用して枝の誘引作業も行います。
脇芽かき
トマトやナスの脇芽をかいて、四方八方に枝を伸ばさないように調整します。
脇芽をかくことで余分な栄養を取られず、主となる幹に栄養を供給でき、太くて丈夫な幹に成長します。
土寄せ
サトイモには土寄せを行い、果実が地表にでない対策を行います。
7月の作業
7月は、本格的な夏野菜の収穫がはじまります。
最近では線状降水帯が発生し、災害級の雨を降らせる地域があります。 雨が降って大変な時期でもありますが、適度な雨と太陽光で野菜の成長は一段と勢いを増します。
収穫がはじまってとても楽しい時期ですが、害虫対策や草取りなどもおろそかにせず、頑張りましょう。
また、収穫は早め早めに行って、枝に負担をかけない配慮も必要です。
7月の作業は以下の通りです。
収穫と播種
以下のような野菜を収穫します。
- キュウリ
- ナス
- トマト
- ピーマン
- トウモロコシ
- エダマメ
- シシトウ
- オクラ
また、余ったスペースに以下の種をまくのも良い時期です。
- ネギ
- ニンジン
- エダマメ(晩生)
その他の作業
脇芽かきと剪定(せんてい)
果菜類の脇芽かきや不要に成長している枝の剪定を行います。
雑草抜き
雑草は抜いても刈っても成長が止まりません。 収穫と一緒に、少しずつでも作業するようにしましょう。
害虫対策
本格的な夏がはじまるので、多くの害虫が元気よく葉っぱを食べに寄ってきます。
無農薬栽培なので、見つけたら手で取るか、葉っぱをハサミで切り落として、害虫を駆除してください。
8月の作業
8月は、収穫の最盛期です。
追肥や剪定のほかに、台風対策を行う必要があります。 突風がきてもいいように支柱とヒモで茎を固定し、倒れないようにします。
お盆休みなどで農園にいけない場合には、事前に小ぶりな実や花を落としておきます。
また、トマトの脇芽かきやナスの剪定なども必要以上に行っていれば、1週くらいは行かなくても大丈夫です。
しかし、2週間後に行くとうっそうとしているので、頑張って再度管理しなおしましょう。
雑草の管理も忘れないように事前に行ってください。 害虫も暑さで活動が鈍くなるため、対策作業も少し落ち着きます。
とても暑い時期ですが、熱中症には十分注意して作業してください。
8月の作業は以下の通りです。
収穫と定植
以下のような野菜を収穫します。果菜類は、下葉が黄色くなって枯れてきたら収穫終了のサインです。
- キュウリ
- インゲン
- トマト
- エダマメ(中生)
また、余ったスペースに以下の苗を定植するのも良い時期です。
- エダマメ(晩生)
秋冬野菜の準備
収穫が終わった株を抜いて、畝をきれいに整えます。
野菜の残渣は畝間の有機物マルチとして有効活用するか、土のう袋に詰めて堆肥にします。
ただし、病気にかかっている残渣は、ゴミとして処分してください。
水やりは表面ではなく、土中深くに浸透させるイメージでやる
基本的に夏場の水やりは、ナスとサトイモくらいで、他の野菜には水やりをしません。
ただし、8月は暑さと降水量が減るため、野菜がしおれてきます。 そのような時は野菜をある程度鍛えてやることも考えて、株間ではなく畝間に大量の水をやります。
ジョウロで水やりをしても土の表面が濡れるか、せいぜい5㎝~10㎝程度、土にしみ込めばいい方です。
夏場の暑い時期に表面だけ濡らしても、野菜は水分をうまく吸収できません。 そのため、ジョウロではなく、バケツなどで大量の水を畝間にドバっとぶちまけます。
普段から表面だけに水をやっていると、水を求めて地表近くに根を張るようになり、少しの乾燥にも耐えられなくなります。
鍛えられた野菜の根は、畝間の方まで根を張るので広い土壌から水分を吸収します。
夏場の水やりはかなりの水道代がかかるので、雨水を効率よくためて有効活用しましょう。
9月の作業
9月に入ると、春夏野菜のナス・サトイモ・ピーマンなど一部の野菜以外の収穫が終わります。
終わったゾーンから順番に秋冬野菜の植え付け準備を行います。
9月下旬頃には、害虫が息を吹き返したかのように活動が活発になります。 特にアブラナ科の野菜に害虫が寄ってきます。
対策として、被覆資材で害虫から苗を守る必要があります。
収穫後の畝の整地
- 畝は崩しません。
- 黒マルチをはがして、苦土石灰や元肥が必要な野菜のゾーンにまき、表面だけ耕します。
- 整地できたら、新しい透明マルチで畝を覆います。
- 注意点として、春夏栽培で土壌中に肥料成分が残っていることが多いので、過剰施肥にならないようにしましょう。
整地した畝には以下の苗を植え付けましょう。
- ハクサイ
- キャベツ
苗が小さい頃は害虫被害も深刻になるので、不織布などの被覆資材でトンネルを作って苗を守ります。 雑草も相変わらず元気ですが、害虫も元気になるのでしっかり対策をしておきましょう。
種のまき方と保存方法
種のまき方にはコツがあり、種は保存することができるので紹介します。
まき方
基本的な種まきのポイントを知っていますか? ポイントを押さえておくと、うまく発芽させることができます。
逆に「やってはいけない方法」があります。 それは、「乾いた畝に種をまいて土で覆い、そのあとに水をやる方法」です。
これは多くの人がやっているのではないでしょうか?
先に種をまくと、種が水で流される心配があります。 また、水をやったときはなじんでいるように見えますが、その後に土が乾燥すると、種の上で土が固まって発芽を妨害します。
栽培を成功させるコツは、うまく発芽させることが大切です。
コマツナやホウレンソウなどの種は、1袋に200~500粒ほど入っています。 保存方法を知らない人は、一度に全部使い切ろうとして種を厚めにまきます。
厚めにまくと、間引きが大変で残しておく苗にダメージを与える危険があります。 ダメージを回避するためにも、一粒ずつ丁寧にまくイメージで薄くまきましょう。
ネギの種のような小さい種は、バケツなどに少量の土と必要な分だけ種を入れ、よくかき混ぜてから土と一緒にまく方法もあります。
保存方法
余った種は、冷蔵庫の野菜室で保管できます。 方法は、密閉できる袋や空き缶に乾燥材と一緒に入れ、冷蔵庫で保管するだけです。
種袋の裏面に記載してある保管期間は「高い発芽率が期待できる期間」です。
上記の方法で冷蔵庫に入れておけば、表示期間より長く保管できます。
以下は「種の寿命の目安」なので、参考にしてください。正しく保存したときの種の寿命の目安
寿命の目安 | 品種 |
---|---|
4~6年 | ナス、トマト、スイカ |
2~3年 | ダイコン、カブ、ハクサイ、キュウリ、カボチャ、キャベツ、レタス、トウガラシ、インゲン、エンドウ、ソラマメ、ゴボウ、ホウレンソウ |
1~2年 | ネギ、タマネギ、ニンジン、ミツバ、ラッカセイ |
この方法を知っていれば、種を余らせることや無駄に多くまく必要もないので、安心して購入できます。
10月の作業
10月は、夏野菜の収穫が終わりを迎えます。 収穫が終われば、本格的に秋冬野菜の栽培に切り替わります。
冬の名物でもある「鍋の具材」になる野菜を植えてもいいでしょう。
種まきと植え付け
以下の野菜の種まきや植え付けができます。
- ホウレンソウ
- シュンギク
- エンドウ
- ソラマメ
- 春ダイコン
- 春キャベツ
- コマツナ
- ミズナ
- ラディッシュ
- チンゲンサイ
翌年の3月に畑を返却する人は、コマツナ、ミズナなどの生育期間の短いものを植えましょう。
ホウレンソウだけは、酸性の土壌を極端に嫌うので注意が必要です。 他の野菜とは別に、苦土石灰100g/㎡を畑に加えてから播種してください。
畝の片付けなど
収穫が終わった野菜の支柱の片づけや畝の整地を行います。 また、植え付け後に被覆資材で覆い保温対策を行います。
11月の作業
11月上旬は、タマネギの苗を購入して定植する時期です。 これが、今年最後の定植作業です。
また7月~9月に播種した野菜の収穫がはじまります。
寒くなってきたら寒冷紗などの被覆資材をはがし、保温性のあるビニールトンネルに張り替えましょう。
12月・1月の作業
12月~1月は、鍋に最適な食材である秋野菜の収穫が本格的になります。
12月~1月は、収穫や間引き以外の作業はほとんどありません。
この期間を利用して、翌年の菜園マップを作成しましょう。
また、落ち葉堆肥用の落ち葉集めや仕込みなど、来年の準備を行います。
2月・3月の作業
この時期は、春からの野菜作りに向けて準備をする期間です。
3月には、ジャガイモの植え付けがはじまります。 そのため、遅くても2月初旬頃には、新しい菜園マップが完成していることが望ましいです。
市民農園の畑を返却される場合には、畑の片づけ、野菜などの残渣、雑草の除去など、借りたときと同じ状態にして返却しましょう。
畑以外にも、農具や農機具、貸部屋などがあれば、そちらの片付け作業も発生します。 また、壊れたり、動作不良の農機具などがあれば、修理も必要になります。
一度にすべてを行うのは大変なので、計画的に作業しましょう。