自然菜園をやるなら野菜の相性を利用するコンパニオンプランツが欠かせません。 しかし、コンパニオンプランツというとなんだか難しそうなイメージがありませんか?
でも安心してください。
今回はコンパニオンプランツをたった3つのタイプに分類することでわかりやすくしました。 そこで今回は、コンパニオンプランツの種類と科別の効果について解説していきます。
自然菜園について知りたい人は、まずはじめに 【ずぼらな人必見】自然菜園を成功させる10個のポイントを紹介!をご覧ください。
コンパニオンプランツとは
コンパニオンプランツとは、品種の違う相性のいい植物を一緒に植えると、相乗効果で生育がよくなる植物です。
そのため、コンパニオンプランツのことを「共栄植物(作物)」や「共存植物(作物)」とも言います。
たとえば、同じような性質をもった植物を近くに植えるとケンカをして育たないことがあります。 しかし、短い根の植物と長い根を張る植物では栄養を吸収する範囲が違うので、ケンカすることなく共存できるかもしれません。
そして性質の違うコンパニオンプランツを植えることで、栄養を分け合って成長を補うだけでなく、お互いの害虫を抑制したり、病気を防ぐ効果もあります。
コンパニオンプランツの具体的な例として「トマトとバジル」は有名です。 料理ではもちろんのこと、一緒に栽培しても相性がとても良い組み合わせです。
コンパニオンプランツの種類
コンパニオンプランツの相性は人間関係にも似ていて、大きく分けて3つのタイプに分けられます。
夫婦型
夫婦型とは「根を絡めて、体に寄り添うように成長するタイプ」のコンパニオンプランツです。 このタイプは野菜と同じ穴に植えることが特徴です。
同じ穴に植えると聞いて驚く人もいるかもしれませんが、例えば、トマトの株にニラの株を1?2本一緒に植えるだけです。 そうすることでお互いの根が絡み合い、トマトの病原菌を抑える効果があります。
また、スイカと一緒にニラを植えるとつる割れ病対策にもなります。
野菜の種をまく時に、ネギやニラなどの株を1?2本、穴に植えてから土をかぶせ、根の上あたりに種をまいて土をかぶせておきます。 成長するに従い、根が絡み合って抗菌効果を発揮します。
友人型
友人型とは「少し距離をおいて対等な付き合いをするタイプ」のコンパニオンプランツです。
友人型の例で言うと、同じ畝の右側に小松菜、左側にハツカダイコンを必要な株間(自立根圏)をあけて植えたとします。 同じ畝の中央に、シュンギクを植えるとアブラムシが寄り付かなくなる効果があります。
このように同じ穴に植えるのではなく、近くに植えることで効果を発揮するものを友人型といいます。
先輩後輩型
先輩後輩タイプは「上下関係や関係性がはっきり分かれているタイプ」のコンパニオンプランツです。 根の張り方や収穫期間が違うものなどのことを指します。
先輩後輩型は、畑の有効活用ができるだけでなく、科目の違う作物をうまく組み合わせると、夫婦型や友人型と同じ効果が期待できます。
特にシソ科のハーブやシソ、バジルなどには抗菌作用があるので、一緒に植えると効果が期待できます。
科別のコンパニオンプランツの効果
コンパニオンプランツを栽培する場合には、どの植物が何科に属するのか知っておく必要があるので、科別ごとに説明します。
ユリ科のコンパニオンプランツ
- アサツキ
- アスパラガス
- 玉ねぎ
- ニンニク
- ネギ類
- ラッキョウ
- ニーキ
- ニラ
ユリ科の植物は浅い根を張るので、ナス科やウリ科などの深く根を張る植物との相性が良いです。
また、ユリ科の根に共存する微生物は、抗生物質を出しており、病原菌の繁殖を抑える働きがあるため、 一緒に植えた野菜の病原菌も抑制する効果があります。
マメ科のコンパニオンプランツ
- インゲン
- 大豆
- エンドウ
- ササゲ
- そら豆
- 落花生
マメ科の根には、根粒菌(こんりゅうきん)と菌根菌(きんこんきん)が共存しており、それぞれ違う効果があります。
根粒菌は、野菜が空気中で取り込んだ栄養を根から養分として吸収します。 その際、養分の中には窒素が含まれており、根粒菌はその窒素を土の中で留めてくれる働きがあるので、土壌が豊かになります。
菌根菌は、リン酸などを野菜が吸収しやすいよう合成してくれる働きがあります。
枝豆などをコンパニオンプランツとして植える場合には、なるべく大きく育たない極早生品種を使います。 他の品種だと野菜よりも大きく育ちすぎて、野菜の成長を妨げる可能性があるので注意しましょう。
キク科のコンパニオンプランツ
- マリーゴールド
- エンダイブ
- 金時草(水前寺菜)
- ごぼう
- シュンギク
- 食用菊
- フキ
- レタス
キク科植物は、独特な香りを放つため虫の忌避効果があります。 そのため他の植物と一緒に植えると、害虫が寄り付かなくなる効果があります。
セリ科のコンパニオンプランツ
- アシタバ
- セリ
- セルリー(セロリ)
- ニンジン
- パセリ
- 三つ葉
セリ科もキク科同様に、独特な香りがあり、害虫対策に効果があります。
たとえばアブラナ科の近くに植えると、アオムシやアブラムシが寄り付きにくくなります。
しかし、バジルは繁殖力が非常に強いので、植えるタイミングや苗の大きさなどには注意が必要です。
イネ科のコンパニオンプランツ
- スイートコーン(トウモロコシ)
- ムギ類
- アワ
- ヒエ
- ソルゴー
イネ科の作物は、根を深く張るので畑の余分な養分を吸収してくれます。 また、団粒構造を作る手助けをして土壌を豊かにする働きがあります。
さらに、昆虫などの住処にもなり、例えばテントウムシの住処になると、アブラムシを駆除してくれるなど、害虫対策にも一役かっています。
また、背丈が高くなるので風除けにもなり、まわりの植物が倒れにくくなります。
相性の悪い植物
相性が良いと相乗効果でうまく育ちますが、相性が悪いと生育を阻害します。
例えば、根が同じ範囲で場所を取り合って育ちが悪くなったり、同じ害虫が発生すると被害が拡大したりします。 相性の悪い例は以下の通りです。
- ナス科 × ナス科・・・連作障害
- オクラやごぼう × トマトやナス(ナス科)・・・根が真っすぐ伸びない
- ネギ × 大根・白菜・キャベツ・枝豆・・・根割れ、結球や実がなりにくい
コンパニオンプランツ以外の病害虫予防
一番簡単で大事な予防法は、定期的に畑を見て回ることです。 見て回ることで病気や害虫に気が付きますし、小さな異変にも気付きます。
強風や日照りなどで野菜が弱っているなどの異変に気付いた時には、早めに対処することで、病気や害虫に耐えうる野菜に育てられます。
害虫(成虫・幼虫)を見つけた場合
害虫を見つけたら、取り除いて駆除する方法が有効です。 また、卵の場合は卵をつぶすか、卵のついている葉を切り落して駆除しましょう。
ネキリムシ
ネキリムシは茎の根元あたりを食べるので、株が大きくなるまではトイレットペーパーの芯筒を使って株を保護する方法が有効です。 また、地表近くを掘って、幼虫がいたら捕殺しましょう。
ヨトウムシ
ヨトウムシは茎の養分を吸いつくし、夜に活動するので昼間は見つけにくいので厄介です。
ヨトウムシは、米ぬかを炒ったものが好物なので、総菜や豆腐の容器など身近なものに「炒りぬか」を入れて、容器の表面が出るように畝に埋めておきます。
翌朝、確認して虫がいれば捕殺しましょう。雨よけに何かかぶせておけば、炒りぬかが腐りにくくなります。
ナメクジ
ナメクジの場合は、ビールが有効で、缶ビールの飲み残しが数センチ分あれば十分です。
缶の上部を缶切りで切り取り、畑に数カ所置いておけば、ナメクジが缶の中に入って、這い出すことができずに溺死します。
アブラムシ
アブラムシやハダニには、海藻の煮汁を吹きかけると有効です。
フノリを使って煮汁を作り、冷めた状態でアブラムシに吹きかけます。 吹きかけたときにはヌルヌル状態でも生きていますが、煮汁が乾燥するとパリパリになってアブラムシも死滅します。
病気を見つけた場合
うどんこ病
うどんこ病の場合には、初期症状であれば石灰液を散布すると効果があります。
うどんこ病とはカビの一種で、植物を枯らす怖い病気です。
初期症状では葉の表面に小麦粉をまぶしたような白いものが付着しています。 この時点であれば石灰液も効果が期待できますが、病気がこれ以上に侵攻している場合は、速やかに処分しましょう。
病気全般
うどんこ病に限らず、病気の葉を見つけたら早めの処置が肝心です。
特に、細菌に感染しているときは注意が必要です。 感染を広げないように、そっと葉を切り取ってナイロン袋に入れ、畑の外へ持ち出して処分しましょう。
株全体に感染が広がっている場合には、その株はあきらめて抜きましょう。 そして、葉っぱと同じように袋に入れて、畑の外へ持ち出して処分してください。
畑に置いておくと、他の野菜にも病気が拡大する恐れがあるので、必ず畑の外へ持ち出すよう心掛けましょう。
まとめ:コンパニオンプランツで自然菜園を
今回は、コンパニオンプランツの種類と科別の効果について解説してきました。
コンパニオンプランツは「夫婦型」「友人型」「先輩後輩型」に分かれます。
どの関係になるかは、植物の特性を理解しないといけないのですが、 今回は科別に特徴を紹介しましました。
コンパニオンプランツをマスターして、自然菜園に近づけましょう。