子供の日と言えば『こいのぼり」思い浮かべる人は多いですよね。
青空を泳ぐ大きな『こいのぼり』は、とても優雅で力強いです。
しかし、『こいのぼり』をなぜ掲げるのか?順番は関係あるのか?
意味を理解している人は少ないのではないのでしょうか。
実は順番にも意味があるのです!!
何気なく毎年、習慣のように掲げている『こいのぼり』にも、歴史や意味があります。
きちんと意味を理解してから見る『こいのぼり』は、また違ったものになるかもしれません。
今回は、『こいのぼり』について掘り下げてご紹介したいと思います。
『こいのぼり』の意味・由来
『こいのぼり』はの歴史は意外なことに江戸時代に始まりました。
この時代は将軍家に男の子が産まれると、玄関先に幟(のぼり)を揚げて祝う習慣がありました。
神様や地域の人に、跡取りの男の子が産まれたという報告と、子供を守って下さいという願いが込められていたと言われています。
この習慣がだんだんと武家に広がっていき、その後庶民に広がっていきました。
その幟に、縁起がいいとされていた「こい」の絵を描いていたことが、『こいのぼり』の由来だと言われています。
では、なぜ他の魚ではなく「こい」なのでしょうか。
中国には“こいの滝登り”という伝説があります。
竜門という滝を登り切った魚は、龍になれるとされ、多くの魚が登ろうとしました。
その中で唯一、こいだけが登り切ることができました。
こいはその後龍になって、天に昇ったとされています。
この伝説を知った商人は、こいを出世のシンボルとして扱いました。
また、こいの様に元気で強く、将来活躍してほしいという両親の願いも込められ、幟に描いたとされています。
私もこの由来を知るまでは、ただかわいいと思っていた『こいのぼり』には、長い歴史と、たくさんの願いが込められていると知って驚きました。
こいは池で優雅に飼われているイメージですが、実はとても強い魚なのです。
『こいのぼり』の順番
『こいのぼり』の一番上についているポールの先の丸い玉は、天球や駕篭玉(かごたま)、回転玉と呼ばれています。
その下には金色の風車がついています。これは矢車(やぐるま)と言います。
どちらも魔除けの意味と、神様にこの家には男の子がいます、という目印の意味があります。
その下に大きいものから順に、父親を表す真鯉、母親を表す緋鯉、子供を表す子鯉の順に掲げます。
子鯉の下に飾るものは自由になっており、子供が増えると子鯉を増やしていく家庭が多いようです。
『こいのぼり』の正しい順番は、天球⇒矢車⇒真鯉⇒緋鯉⇒子鯉となります。
『こいのぼり』の色の意味。二人目以降の場合は?
こいのぼりは黒・赤・青の3色セットが基本とされています。
色は中国古代の「陰陽五行思想」から伝わっているそうです。
「陰陽五行思想」とは、この世の全てのものは陰か陽、それと5つの要素(水・金・土・火・木)で成り立っているという考え方です。
それぞれの色は季節と関係があります。
- 水:黒色、冬
- 金:白色、秋
- 土:黄色、土用
- 火:赤色、夏
- 木:青色、春
この陰陽五行思想と『こいのぼり』を照らし合わせると、
真鯉の黒は、生きるのにかかせない水と、寒い厳しい冬の季節を耐え抜く、父親の姿を表しています。
緋鯉の赤は、温かくて生命が活動する夏の様子から、母親の姿を表しています。
子鯉の青は、緑が生い茂り植物が成長していく春、子供の姿を表しています。
では2男3男が産まれたら、子鯉の色はどうするのでしょうか?
多くの家庭では青い子鯉の下に、違う色の子鯉を掲げます。
緑や黄色のような明るい色が人気です。
また、女の子が産まれた場合はピンクや紫などの可愛い色を掲げる家もあるそうです。
最近では男の子が産まれた時だけではなく、女の子が産まれても『こいのぼり』増やす習慣が増えてきました。
時代とともに、『こいのぼり』も変化をしているのでしょう。
今まで『こいのぼり』のカラフルな色を、ただきれいだと眺めていました。
それぞれのこいの色には、意味と役割があったのですね。
吹き流しの意味
こいのぼりを見ると、こいの上にカラフルなヒラヒラとした飾りがあります。
これを「吹き流し」と言います。
吹き流しの意味は主に魔除けです。
この由来には諸説あるのですが、
戦国時代から、災いがおきないように、戦でも掲げられていたそうです。
それとは別に、江戸時代に武家と同じように幟を掲げる事ができなかった庶民が、幟のかわりに吹き流しを掲げて、男の子が産まれたことをアピールしようとした、という説もあります。
また、風向きや天候を目で確認するためにあるとも言われています。
吹き流しの色は黒・白・赤・青・黄の5色です。
こいのぼりと同じく、「陰陽五行思想」からきています。
どの色も大切な要素なのですね。
吹き流しをただのヒラヒラした、こいのぼりの付属品だと思っていた自分が恥ずかしいです。
こいのぼりを飾るのはいつから?いつまで?
こいのぼりを飾る時期は明確には記されていません。
3月3日のひな人形と入れ替えて出す家庭も多いでしょう。
おおまかには、端午の節句とされている5月5日の2、3週間前から掲げる家庭が多いようですね。
端午の節句が終わってすぐ片付ける家庭もあれば、旧歴の端午の節句は1ヶ月遅れなので、6月まで飾っておく家庭もあるようです。
ざっくりですが、目安としては
- 飾りはじめ:4月の初旬
- 飾りおさめ:5月いっぱい
この辺りで、飾りやすい日・しまいやすい日を選んでみてはいかがでしょうか。
大きい物なので、父親がお休みの日や天気がいい日に、出したりしまったりするのがいいのかもしれません。
また、子供の成長を願って大安の日に出すのいいですね。
『こいのぼり』の順番は決まっている?まとめ
『こいのぼり』には長い歴史と深い意味があります。
ただのかわいい飾り物ではないのです。
しかし近年はマンションが増え、大きいこいのぼりを掲げる事ができない家庭も増えています。
このような時代背景に合わせて、100円ショップなどで安く小さい『こいのぼり』を簡単に手にできるようになりました。
『こいのぼり』の意味を知ると、子供の成長を願ってどんな形でも掲げてあげたいですよね。
ちなみに我が家も以前はマンションだったので、部屋に置ける小さな木製の『こいのぼり』を購入しました。
カラフルで同じ大きさの10匹のこいがついた置物です。
色も大きさも伝統的な形とは全く異なりますが、息子はとても喜んでいました。
一緒に『こいのぼり』を眺めながら、こいのぼりの歴史と意味を簡単に話してあげると、驚いたような嬉しそうな顔をしていました。
長い歴史の中で、昔の人の願いがたくさん込められた『こいのぼり』。
ただ眺めるだけではなく、掲げる意味を知ることで、伝統を引き継いでいくことも大切ですよね。
毎年、子供の日がさらに楽しみになりそうですね。