世界中の子どもや大人に愛され、翻訳されている言語は、なんと200カ国を超える小説『星の王子さま』。
『星の王子さま』の著者は、フランス人のアントワーヌ ド サン=テグジュペリです。
もともと高貴な貴族の家柄に生まれたアントワーヌですが、パイロットになったり販売のセールスをしたりと様々な職業を経験した人です。
だからこそ『星の王子さま』の言葉は心に響くのではないでしょうか。
ちなみに、星の王子さまの他にも小説を書いています。
今回は、世界中で愛されている『星の王子さま』の本の魅力や心に響く名言をご紹介します。
この記事を書くにあたり、もう一度『星の王子さま』を読み返してみました。
1年に一回、いや、5年に一度でも良いので、読み返すと毎回、新しい発見がある、そんな本です。
人生の岐路に立たされている時、恋人、友達、家族やペットとの別れを経験した時、自分の人生に迷いがある時など、様々なシーンで読んでみると良い発見が必ずあると思います!
星の王子さまはなぜみんなの心に響くのか?
どうしてこんなにも世界中で『星の王子さま』は読まれ続けているのでしょうか?
それは単なる子ども向けの小説ではなく、より深い哲学的な内容を分かりやすくまとめているからです。
私が考える『星の王子さま』が心に響く理由は3点です。
- 著者の体験を元に書かれているから
- テーマが生命や愛についてであるため、大人も共感できる
- 登場人物が個性的で魅力的
幅広い世代が共感できるのが、心に響きやすいポイントだと感じました。
『星の王子さま』の本が、最初にアメリカで出版されたのは1943年です。
そんな前に出版されていたとはかなりの驚きです。
その後、フランスで1945年に、そして、日本ではだいぶ遅れて、1953年に出版されました。
戦後すぐに出版された『星の王子さま』は、当時、衝撃的な影響力を与えたのではないでしょうか?
ただの子ども向けのファンタジー小説かと思って読み進めていくと、すぐに、そうではないことに気がつきます。
子どもでもわかる様に、わかりやすい文体で書かれていますが、内容はもっと深く哲学的です。
実際に著者のアントワーヌが経験した、リビア砂漠での飛行機墜落事故の体験がそのまま本の中の主人公の『ぼく』に反映されているので、とてもリアルに感じます。
また、小さな王子さまも、アントワーヌ本人が子どもだった時の無邪気さを残していて、面白いです。
大人になった自分と子ども時代の自分が主人公。そういう風に解釈してもいいと思います。
『星の王子さま』の本の中の一番のテーマは、生命、愛とは何か?と言った人生における一番重要な問題に触れています。
かなり重たいテーマなのに、著者の書いた挿絵や文体が軽いタッチなので、非常に読みやすいのではないかと思います。
魅力的な登場人物たち
主な登場人物について書き留めておきます。
バラ
小さな王子さまにとっての『バラ』の存在は、愛、もしくは恋人だと解釈できます。
そんな『バラ』の名言、『バラ』との別れ、また『ヘビ』や『キツネ』の存在など面白くてどんどん本に引き込まれていきます。
キツネ
個人的には、『キツネ』の存在がかなり好きです。『キツネ』は、小さな王子さまに人間関係について教えてくれます。
そしてこの本の一番大切な『大切なものは、目に見えない』という秘密も『キツネ』が小さな王子さまに教えてくれます。
日本では、キツネといえば、賢いイメージと人を化かすイメージがありますが、フランスではどうなのでしょうか?気になります。
星の住人たち
小さな王子さまが地球に辿り着く前に訪れたそれぞれの星の主人公も特徴的です。
大人の社会に出れば、必ず出会うであろう人格の風刺だと思います。
1番目の星の『王様』は、とにかく命令をして偉そうにしている。権力を振りかざし、実際は、自分が何も知らないことを知らない裸の王様タイプが現代社会にも必ずいると思います。
2番目の星の『うぬぼれ』は、自分が褒められることしか考えていません。自分のことしか考えられない人って必ずいますよね。。。何の話題をしても自分はこうだった、自慢話になってしまう人は要注意です。
3番目の星の『酔っ払い』は、お酒をとにかくずっと飲んでいました。お酒を飲んでいることを恥じて、それを忘れるためにまた飲む。現実にもそういう人っていますよね。現実逃避のために飲み続けて、現状は何も打破されない状況に自分を追いやってしまっています。
4番目の星の『ビジネスマン』は、常にお金の勘定をしていました。自分の星の数をひたすら数えているのですが、何でもかんでもすぐ『それいくら?』と値段を聞いてくる人もいますよね。お金では買えないものも沢山あるのにもったいない感性です。
5番目の星の『天灯夫』は、非常に忙しい毎日です。この星の自転がどんどん早くなってしまったので、1分間に1回ずつ火をつけたり消したりしないといけません。
唯一、この『天灯夫』だけは、自分のために働いているわけではないので、小さな王子さまも同情の言葉をかけています。
6番目の星の『地理学者』は、完全な学者タイプです。自分の書斎にこもって文献を読んだり調べたりするのに、実際の土地を見に行ったりはしないので何も現実を知らないのです。現場を知らない学者も沢山実際にいそうです。
どの星の人もかなり変わっていて極端に描写されていますが、実際の社会にもこういう傾向にある大人は沢山います。
子どもに伝えたい名言
ここからは、『星の王子さま』の名言についてまとめました。
あまりにもたくさんの名言がありますが、私が個人的に好きな順に書いていきます。
『大切なことは、目に見えない・・・』
キツネが小さな王子さまに教えてくれた秘密です。
物事は、ハートで見なくてはいけないよ。と言うことを教えてくれました。
本当にその通りです。小さな王子さまが大切に育てていたバラもそうです。バラと過ごした時間が大切なのであって、これもまた目には見えないのです。
人間関係でつまずいた時に、“何であの人は、あんなこと言うんだろう?”と思うことはありませんか?でももしかしたら、自分の観点とは違う思いがあってそういう風に言ってくれていることもあるのです。
そんな時に、『大切なことは、目に見えない』を思い出して、その人の話を聞くとイライラしたり、腹がたったりはしなくなります。
一番悲しいのは、相手のことを何も深く考えずに適当に返答していたり相談に乗っている場合です。本当に相手のことを親身に考えてくれていれば、キツイ言い方をされても相手への思いが伝わるものです。
『子どもたちだけが、自分が何を探しているか知っているんだね』
大人でよく“自分探し”をしていて、結局何も見つからない人がいますが、子どもたちは、直感的に自分が何を探しているか、何が欲しいのか全てちゃんとわかっているのです。
純粋な気持ちで生きているからこそ、しがらみや余計な考えをしないので、動物的な勘でわかるのです。
大人になればなるほど、頭で考えすぎてしまい、人間関係などで上手くいかないことも増えますよね。そんな時は、この名言を思い出してください。きっと野生のカンがあなたを導いてくれます!
時には、深く考えすぎずに、自分が思う様に行動してみることは、本当に大切です。
『金色に輝く小麦を見ただけで、ぼくは君を思い出す様になる。麦畑をわたっていく風の音まで、好きになる』
これは、キツネが小さな王子さまに言ったことですが、何とも素晴らしい表現です。
昔、付き合っていた人とよく行った場所や一緒に聴いていた音楽を聴くと、懐かしい気持ちになる様に、その人を思い出す風景があるというのは素晴らしいです。
誰かを大切に想う、誰かと特別な関係になるというのは、“ココロ”がある人間だからこそできるのです。本当に素晴らしいことですね。
『午後の4時にきみが来ると思うと、午後の3時にはもう嬉しくなる。そこから時間が進めば、進む程、どんどん嬉しくなってくる。とうとう4時になるともう、ソワソワしたり、ドキドキしたり』
こちらもキツネの名言です。
待ち合わせをして待っている時って、片思いの時の様にドキドキしますよね。
会いたくてたまらない相手がいるってすごいことです!
改めて、キツネと小さな王子さまの出会いは、本当に貴重だなぁと思います。
純粋無垢な小さな王子さまは、キツネによって知識を広げて行くのですが、キツネの導きは、非常に正しい方向性なのです。
大人によっては、ひがんでいたり、間違った方向性に子供を導いてしまう大人もいますから、小さな王子さまにとってこのキツネと出会えた環境は完璧です。
『みんなが忘れちゃっている大切なことだよ。それは、絆を結ぶっていう意味なんだ』
キツネが教えてくれた一番重要なことは、この“絆を結ぶ”ということです。
普通のキツネは、どこにでも沢山いるけど、世界で1匹だけの“絆を結んだ”キツネにしてくれないかとお願いするキツネ。
キツネとのやり取りを通して、小さな王子さまの星に居たバラの大切さに気が付く小さな王子さま。
人間関係もそうですよね?人口にしたら世界中に沢山いる人間。その中から出会った人は、ごくわずか。そのうち何人が“絆を結ぶ”関係になれるのでしょうか?
運命的な出会いと言っても過言ではないほど、貴重な出会いで関係を結ぶことになります。
運命的な出会いをするというよりは、偶然に出会い、そこから“絆”を深めていき、運命の人になると言った方が正しいかもしれません。
『君がバラのために使った時間が長ければ長いほど…バラは君にとって大切な存在になるんだ」』
キツネとの別れのシーンでキツネが言ったことです。
何かにかけた時間が長ければ、長いほど、その何かは、自分にとってかけがえのないものになるということをキツネが教えてくれています。
周りからしたら、普通のバラに見えても、手塩にかけて大事に大事に育てた小さな王子さまにとってのあのバラは、何よりも大切なものなのです。
そのことをいつまでも忘れては行けないよ、とキツネは優しく諭してくれます。
運命の出会いをただ待つのではなく、大切なその人との時間を費やして行くことが本当に大切なことだと思わされます。
『ほら、淋しい時ほど夕日を見たいって思うものだから』
小さな王子さまは、夕日を見るのが大好きです。
ちょっと歩くだけですぐ1周出来てしまう、王子さまの星では1日に何度も夕日を見ることができるのです。
とある日には、小さな王子さまは、1日に44回も夕日を見たそうです。
どれだけ孤独で寂しかった日なのでしょうか?44回も見たことを無邪気に言えてしまう小さな王子さまが本当に愛おしいですね。
寂しいときは、単純にその感情と向き合う時間も必要なのかもしれません。
『探しているものは、たった一つのバラの花の中にだって、少しの水にだってある』
“人生を豊かにしてくれるもの”の定義は、人それぞれだと思います。
お金、地位、名誉があれば他に何も要らないという人も中にはいるかもしれません。
しかし、小さな王子さまにとって一番大切なものは、バラの花と小さな王子さまの関係、そして、小さな王子さまと主人公のぼくとの信頼関係にあります。
主人公のぼくと小さな王子さまの信頼関係の象徴、が砂漠の中で見つけ出した井戸なのです。
主人公のぼくの腕の中で疲れ切って、ぐっすり眠ってしまう小さな王子さまも、完全に主人公のぼくを信頼しているからこそ、眠りこけてしまったのではないでしょうか?
『きみが星空を見あげると、そのどれか一つにぼくが住んでいるから、そのどれか一つの星でぼくが笑っているよ。きみは、星という星が全部笑っているみたいになるってこと。きみには、笑う星々をあげるんだ!』
自分の星に帰らないと行けない王子さまが、主人公のぼくにくれた最後の言葉でした。
なんて素敵な贈りものでしょうか?夜空を見上げれば、いつも王子さまがどこかの星で笑っている、それを考えるだけで、昼間の空を見上げてもニッコリ笑ってしまいそうなくらい素敵な贈りものです。
目には見えなくても、王子さまの想いはずっと続いていくのです。
大切に誰かを想うこと、絆を結ぶことは、とてもシンプルですが重要なことなのです。
大切な人との別れはいつも寂しい気持ちになります。
そんな時、この言葉を思い出すだけで、気持ちが和らぎます。
どんな別れを経験しても二人の絆は、形を変え、見えない形でも続いて行くのです。
星の王子さまの名言まとめ
今回は、世界中の子どもや大人に愛されている『星の王子さま』の名言についてまとめました。
元々は、フランス語で書かれている『星の王子さま』は、出版社や翻訳者によって少しずつニュアンスを変えて日本語になっています。
何冊か、読み比べてみるのも新しい発見があって面白いです。
人生でつまずいた時や、何かに迷っている時、大切な誰かとお別れをした時などの人生の節目で読むとより心に深く染みます。
是非、読んでみてください!