都道府県民共済のチラシや広告、口コミを見て生命保険の掛け金の安さに驚く方も多いのではないでしょうか。
県民共済の火災共済も同様に、民間の保険会社に比べて掛け金が少ない商品です。
しかし、安い保障だと万が一の際に大丈夫なのか不安ですよね。
デメリットはズバリ!
といったデメリットがあります。
しかし、悪いところばかりではありません!
都道府県共済には、大手保険会社にはないメリットもあります。
今回は県民共済の火災保険について紹介します。
県民共済の火災保険で補償されないもの
最低限の補償を幅広くという形なので補償されないものはありませんが、補償内容は大手保険会社と比べ薄いものとなっています。
例えば、民間の火災保険の風雪害ではカーポートや門扉の破損も補償に入りますが、共済では補償の対象ではありません。
他にも浸水の補償に関しては大手保険会社と違い、段階性になっています。
大手保険会社の場合は床上浸水全部に補償がされますが、共済の場合は60cm未満、60~120cm未満、120cm以上と3段階に分かれています。
また地震保険というものがありません。
ただ全く出ないわけではありません。
地震等による住宅の半壊・半焼以上の損害に対して、加入額の5%の範囲内で最高300万円までは支払われます。
県民共済は性質上、大手保険会社と補償内容を比較見積りすることが難しいものとなっています。
保険金額だけに注目せず、災害が起きたことを想定して、細かい補償部分を確認することが重要になります。
その他にも、支給に対して条件が細かく設定されていますので注意が必要です。
県民共済のメリットは?
補償の内容や地震保険の部分のデメリットをご説明しましたが、メリットはないのでしょうか?
県民共済の最大のメリットは、なんといっても掛金の安さです。
火災保険は例外を除き、ほとんどの場合は必ず加入しなければいけないものなので、できる限り掛け金を抑えておきたいところです。
特に賃貸に短い期間だけ住む場合など、掛け金の安さにメリットがあります。
この掛け金の安さは、共済の考え方からきています。
共済の考え方は、特定の地域や職業の会員の困っている仲間を助けるという『相互扶助』考えに基づいています。
ですから、会員同士で自分だけではなく、みんなで助け合いたいという方には向いている商品です。
また、大手保険会社ではありえないもう一つのメリットが『割戻金』です。
割戻金とは、支払った掛金が一部戻ってくることを意味します。
ただでさえ安い掛金から、更に掛金が戻ってくるなんてすごいと思いませんか?
2020年の実績は4.47%の割戻金がありました。
県民共済と火災保険は別物?
全くの別物です。保険も共済も日常の万が一に備えて相互扶助をする点では同じですが、違いがいくつかあります。
二つの違いをご紹介していきます。
加入者の違い
保険は不特定多数を目的としていますが、共済は特定の地域、職業、公共団体など、会員の条件が限定されています。
特定の条件の会員みんなに、最適なプランを提供しているため、カスタマイズできませんが、万人に最低限の補償が入っています。
用語の違い
火災に対しても、保険は『損害保険金』として支払われますが、共済は『共済金(見舞金)』です。
保険料ではなく掛け金、契約者ではなく加入者となっています。
サポート面の違い
保険では、各保険会社にコールセンターがあったり、担当の営業がついたり、代理店のスタッフに相談すれば必要な補償について相談にのってくれます。
一方の共済は、相談窓口のスタッフが詳しくないことと、自身で補償の口数を決めなければいけません。
補償内容が複雑なため、自身でパンフレットや補償内容をしっかりと読み込み確認することが必要です。
補償内容の違い
保険の場合は、損害を受けた内容に対して100%、又は、損害の程度によっての保険金ですが、かなりの割合の金額が出ますし、被災している最中や復旧中にかかる費用に関しても、補償のなかに入っているものも多くあります。
しかし共済は、完璧に被災する前の状況に戻すためのお金ではなく、災害にあってしまった人へ『見舞金』の考え方で支払われますので、一定金額または、家屋の修繕にかかった費用のみでそこに付随する費用は入っていません。
営利・非営利の違い
保険会社は営利団体とし、会社の利益になるように商品を販売していますが、共済は非営利団体なので、団体の利益のためには活動していません。
そのため、比較的安い掛け金で共済を運用することができています。
共済は割安な掛金をうたっていますが、本当に必要な補償内容か確認をしてください。
保険会社によっては、失火の原因である、たばこを吸わない場合の割引や、オール電化の割引などもあります。
必要な補償をオプションで別に契約する場合は、共済ではなく保険会社に一括で申し込んだほうがお得になる場合もあります。
車の保険、生命保険と同じ会社にすることや、特約で被っているものを検討することによって安くなる場合もあります。
地震保険が欲しい人はプラスしよう
共済には『地震保険』というものはありません。
しかし『地震特約』というプランがあります。もちろん地震保険控除も受けることができます。
これは地震による被害がでた際に、基本金額の15%分を受け取れるものになっています。
基本契約の部分と合わせると、設定金額の20%が地震で被害を受けた際に、お見舞金として受け取れます。
例としては、火災共済部分の基本金額が2,000万円なら、地震特約で400万円受け取れるということです。
ただし、都道府県民共済の中でも『地震特約』を用意していない都道府県もあるので注意してください。
その場合は、都道府県民共済グループの全国共済で加入することができます。
大手保険会社の地震保険も、基本保険金の50%までしか支払いを受けられないので、不足分を補う場合であれば、地震災害部分を単独で補償出来る『リスタ少短』というSBIリスタ少額短期保険株式会社が提供している保険に加入することをおすすめします。
県民共済の火災保険、安いけどデメリットはないの?まとめ
今回県民共済について紹介しました。
県民共済はお住まいの都道府県で加入ができ、少ない掛金で最低限の補償が手に入る魅力的な商品ですよね。
しかし、その一方で補償内容が薄いこと、プランは一つで簡単だが補償の内容が複雑になっているという点も注意しなければいけません。
補償内容も都道府県によって違うため、簡単に比較ができない点も加入を検討することを難しくしています。
私の個人的な意見として、一人暮らしの賃貸に短期間だけ住む予定や、お金に困っている場合などでなければ民間の保険会社の火災保険をお勧めします。
特に戸建ての場合だと自然災害をダイレクトに影響を受けますし、浸水の被害に合う可能性も高くなります。
私は、床上浸水を受けた友人を泊めたことがありますが、戸建てのため家屋の被害だけではなく、家具・家電の買い替え、床や壁の清掃消毒など、様々な被害がありました。
仕事用品も水につかったり、流されたりと使えなくなり、仕事もしばらく休んでいました。
自分ひとりだけならば、友人宅に転がりこむこともできるでしょうが、家族となるとそういう訳にもいきません。
買い替えるにしても一つ一つの家具・家電も高額になってしまいます。
そういった全体的なことを考えて、自分に合った商品を保険会社で検討したほうがいいと思います。
ただ現在は、大手保険会社の地震保険は毎年値上がりし続けています。
以前のように30年一括契約などは出来なくなり、短い期間で契約を更新するようになってきました。
今後は更新の度に保険料の上げ幅に驚くと思います。
その値上がりによっては、共済を選ぶという選択肢も出てくるかもしれません。
大切なのは、補償の内容をしっかりと理解した上で保険を選ぶということです。