狭い農園だと同じ科の植物を育てないのって、意外と難しいですよね。
同じ科の植物を育てると、連作障害でうまく育たない可能性があります。 そこで、連作障害を防ぐ方法のひとつとして、土壌消毒があります。
土壌消毒をすれば、連作障害の原因となる病害虫を死滅させられるので、連作障害になりにくくなります。
そこで今回は、薬剤を使わずに環境に配慮した土壌消毒方法を紹介します。
土の消毒法1:太陽熱消毒
太陽熱消毒は、夏の太陽熱で土が新しくよみがえる方法です。大まかな手順は以下の通りです。
太陽熱消毒の手順
- 米ぬかか鶏糞をまく
- 微生物資材をまく
- 鍬でよく耕す
- 畝を立てる
- 透明マルチをピッタリ張る
- 20~30日放置する
太陽熱消毒のポイント
地温を上げたいので、7~8月の最も直射日光が強い時期に行います。
全体の温度を上げ、蒸すためには、ある程度の水分が必要です。雨の後か、水やりをしてから行いましょう。
地表に近いほど消毒の効果が高いので、消毒後は耕さずに使用します。そのため、消毒前に元肥を施しておくと良いでしょう。
マルチを張る前の準備が大事
太陽熱消毒は微生物の働きを活性化させ、マルチで地温を上げます。そのため、微生物の餌となる米ぬかや鶏糞をまきます。
また、土壌改良剤のひとつの微生物資材をまくと、微生物が爆発的に増殖し、病原菌を追い出してくれます。
微生物資材とは、微生物を含んだものや、微生物を増殖させる働きをもつ資材です。腐熟促進効果が明記された分解力の高いものを選びましょう。
マルチを張って地温を上げる
マルチで覆うと、地温が40~50℃まで上昇するので、病原菌や害虫のほとんどが死滅します。隙間なくピッタリと張ることで熱が逃げなくなり、効果が上がります。
マルチは透明のものを使いましょう。透明が一番地温が上がります。
これを1ヶ月ほど続ければ、太陽熱消毒は完了です。
土の消毒法2:寒起こし
冬の農閑期に行う土壌触毒といえば、寒起こしです。土を冬の寒さにあてて、病原菌を死滅させます。
寒起こしの大まかな手順は以下の通りです。
太陽熱消毒の手順
- 栽培が終わった畑で、前作の株や太い根を処理する
- 大きな塊になるように、スコップや鍬で耕す
- 1~2月の寒風にさらす
寒起こしのポイント
1~2月の厳寒期に行います。 粗く耕し、塊のまま寒風にさらすのがポイントです。
土中の水分が凍結と乾燥を繰り返すことで、土の団粒化が進みます。
土の消毒法3:天地返し
深い土を表層にもってきて、表層の土を埋めてしまう方法を天地返しといいます。 天地返しは、消毒ではありませんが、連作障害には有効な方法です。
表層の土には、前作の病原菌や害虫の卵、使われなかった栄養分などが残っています。 しかし、深い土にはそれらが残っていないため、新しい土として利用可能です。
そのため、天地返しにより土がよみがえり、連作障害を回避できます。 また、ダイコンなどの根菜類の肌が綺麗になる効果もあります。
天地返しの手順
天地返しの手順は以下の通りです。
天地返しの手順
- 穴を掘って、表層(30cm程度)の土を右側に積む
- さらに穴を掘って、深層(30~60cm)の土を左側に積む
- 右側に積んである表層の土を穴の中に戻す
- 左側に積んである深層の土を穴の中に戻す
天地返しの注意点
これまで堆肥や肥料を入れて土づくりをしてきた表層の土を埋めてしまい、 新しい土を使うことになるので、土づくりを一からスタートしなければいけません。
また、深層の土が砂利だらけだったり、粘土だったりすると、天地返しが向かない場合があります。
そのため、天地返しを行うのは限られます。
まとめ
今回は、太陽熱消毒、寒起こし、天地返しの土壌消毒を紹介しました。
どの方法も病原菌には有効ですが、農閑期にできる寒起こしが最も簡単でおすすめです。夏の間に、空いているスペースがあったら、太陽熱触毒を行いましょう。
貸農園を借りて前作がわからないときや、病気が蔓延したとき、すぐに植え付けたいときは、天地返しも行うと良いでしょう。