- 連作障害対策をしたい人
- 畑が狭い人
- 毎年プランターで植物を育てたい人
- 植物が枯れた原因を知りたい人
家庭菜園を始めると必ず耳にする連作障害。連作障害にならないためには同じ場所で育てないと思っている人も多いと思います。 しかし、根本的な原因を知り、対策ができれば連作障害を気にすることなく家庭菜園ができます。
そこで今回は、連作障害の対策について紹介します。
連作障害とは

連作障害とは、同じ科の植物を同じ場所で育てることによって、病気や生育不良が起きて収穫量が減ってしまうことです。
連作障害の原因
連作障害は、土の中のバランスが崩れたことによっておきます。連作することによって、栄養分や微生物のバランスが崩れるからです。
連作することによって、その植物が好きな栄養素だけが吸収されて、不要な栄養素は土の中に残ります。これによって、土の中の栄養素のバランスが崩れて連作障害になります。
また、微生物にも好みがあり、特定の植物に特定の微生物や病原菌が集まってきます。 連作することによって、微生物のバランスも崩れていきます。
連作障害の症状

連作障害の症状としては、
- 土壌病害
- 線虫害
- 生理障害
が挙げられます。
土壌障害
土壌障害とは、土の中に生息している病原体が、根や茎などから作物に侵入して発症する病気のことです。 土壌伝染性病害ともいいます。 病原体には、菌類、細菌、ウィルスがあります。
発生する主な病気として、下記のような病気があります。
主な病気
- 青枯れ病(あおがれびょう)
- 萎黄病(いおうびょう)
- つる割れ病(つるわれびょう)
- 根こぶ病(ねこぶびょう)
- 半身萎ちょう病(はんみいちょうびょう)
青枯れ病はナス科に多く、5?10月ごろに発生しやすくなります。日中は茎や葉がしおれて、夜は回復したように見えます。この状態が続くと青いまま枯れてしまいます。根を切ると変色し、乳白色の液体が出ます。短期間で株全体に広がります。
萎黄病はアブラナ科に多く、夏ごろに発生しやすくなります。葉が小さかったり、形がいびつになります。新しい葉は黄色くなったり、枯れたりして落葉します。茎を切ると変色していて、根は黒くなって腐っています。
つる割れ病はウリ科に多く、4?10月ごろに発生します。日中は茎や葉がしおれて、夜は回復したように見えます。症状が進むと茎から茶褐色の液体が出たり、カビが発生するようになります。
根こぶ病はアブラナ科のみに4?10月ごろ発生します。その名の通り、根にコブができます。発症すると次第に生育不良になり、葉の色があせてきます。
半身萎ちょう病はナス科に多く、5?10月ごろに発生します。最初は葉の片方が変色し、次第に両方変色します。次第に株全体に広がり枯れてしまいます。葉を切ると薄茶色に変色しているのが特徴です。
線虫害
線虫害は線虫が寄生することによって起こります。良く見ると根にコブや根腐れが見られますが、認識されずらいです。 線虫は、体長が1mm以下でうなぎのように細長い形状をしています。肉眼では見えづらいことから、病気として扱われます。 根を腐らせるネグサレセンチュウや、コブを形成するネコブセンチュウ、じゃがいもなどに寄生するシストセンチュウがいます。一度畑に入ってしまうと全滅させることが難しいので、侵入させないことが重要です。 寄生すると根だけではなく、葉にも寄生します。
寄生されると、作物がしおれたり、立ち枯れを起こします。
3?10月に発生しやすく、卵で越冬します。 線虫害は土の中の微生物のバランスが崩れることで発生します。
生理障害
生理障害は、土の中の栄養分が多かったり少なかったりすると起きます。植物によって必要な栄養素は異なるので、その植物に合った施肥をすることが重要です。
窒素が多すぎると葉ばかりがしげり実がなりません。 カルシウムが不足すると、例えばトマトのお尻が黒く変色して、症状が進むと株全体が腐ってしまいます。 マグネシウムが不足すると葉の葉脈以外が黄色くなります。
このようなことがないように、その植物に合った施肥を行います。
肥料については、以下の記事をご覧ください。
連作障害が出やすい野菜と輪作年限

連作障害を出さないためには輪作が有効です。元の場所に戻ってきても良い年数を輪作年限と言います。ここでは、連作障害が出やすい野菜と輪作年限について紹介します。
輪作年限 | 科 |
---|---|
3~4年 | ナス科 サトイモ科 |
2~3年 | ウリ科 マメ科 |
1~2年 | アブラナ科 |
連作可能 | さつまいも ズッキーニ トウモロコシ 空心菜 ニンニク アスパラガス |
連作障害の対策6選
連作障害を防ぐ対策について紹介します。対策としては、根本原因をなくすために土の中のバランスを整える方法と、連作障害を起こしにくくする対処法があります。
有機物の投入
完熟堆肥などの有機物を入れると土壌のさまざまな微生物が増え、バランスが保たれます。また何も育てていない期間に青刈作物を育てて、種ができる前に刈り取って畑にすき込むのも有効です。青刈植物は、イネ科やマメ科のものが良く、青刈専用として種が販売されています。
有機物の投入
基本的にはそのままでは植物に吸収されないため、即効性はありません。 分解されることにより、ゆっくり長く効くのが有機肥料です。 臭いがあるため、室内では使いづらいですが、有機野菜を作るなら必須となります。
適度な施肥管理
土壌診断などを行い、足りない肥料を補うことで土壌のバランスを整えることができます。
有機物の投入と適度な施肥管理は連作障害の根本原因を改善する方法です。これらを完璧に実施できれば連作障害は怖くありません。自然界の植物が毎年同じ場所に生えても病気にならないのはそのためです。しかし、これらが効果を発揮するまでには何年、何十年の時間がかかります。そこですぐに効果が発揮される対処法を次に紹介します。
輪作(ブロックローテーション)
1番簡単で効果を発揮するのが輪作です。同じ場所で同じ科の植物を育てる連作をせずに、違う場所で育てます。そうすることで土の中のバランスが崩れづらくなり、連作障害が起きにくくなります。輪作年限は最高でも4年なので、畑を4つに分けて毎年違う場所を使えば5年後に元の位置で栽培できます。
コンパニオンプランツ
植物には相性が良い植物が存在します。例えば、トマトと一緒にネギを植えるとお互いに良い影響を与えます。このような植物をコンパニオンプランツと呼びます。コンパニオンプランツを植えることで、土の中のバランスが崩れるのを防ぎます。
接木苗の活用
連作障害に強い接木苗を使うことで、連作障害に強くなります。接木苗は、地上部を収穫したい品種の野菜にして、土台(根)の部分に病気に強い品種をくっつけます。そのため、病気に強く、美味しい苗ができます。
どの品種を土台にするかでどの病気に強いかが変わるので、連作障害に強い品種を土台にしましょう。根こぶ病ならCR、萎黄病ならYRの文字が書いてあるものを選びます。
接木の作業は初心者には難しいので、接木苗を購入することをおすすめします。
作物を作らない時期の湛水管理
多くの病原菌や害虫は水の中で長時間生きていることができないので、一定期間土を水浸しにすることも効果があります。畑の土でやるには限界がありますが、プランターの土であれば、ビニール袋に入れて行うことができます。
土壌消毒
ビニールで土を覆い、太陽熱を利用して地中の温度を上げることで消毒します。土壌消毒剤を撒くこともできます。石灰資材を撒くこともありますが、入れすぎると土壌がアルカリ性になり野菜が育たなくなるのでおすすめしません。
土壌消毒は特に土壌病害に効果的です。
土壌消毒については、以下の記事をご覧ください。
まとめ
今回は、連作障害について紹介してきました。
連作障害は基本的に、同じ科の植物を数年間育てなければ起こりません。 しかし、限られた面積で植物を育てるのに、同じ科の植物を育てないのは難しいのはないでしょうか。
そのため、土の中のバランスを改善して、連作障害対策をする必要があります。
最初のうちは難しいかもしれないので、連作年限の短い植物から育てるのも良いでしょう。