野菜作りは土作りと言われるほど家庭菜園とは切っても切り離せない土作り。 しかし、何からやったらいいのかわからない家庭菜園初心者も多いと思います。
まず始めに、自分の畑の土がどの様な土か理解します。 そのうえで、足りないものを補ってあげるのが正解です。
土作りに使う資材を土壌改良材といい、肥料、堆肥、石灰資材などのことです。 それぞれ役割が違うので、違いを理解するところから始めましょう。
土壌改良の時期は、作付けのおよそ1か月前なので、それまでに準備が必要です。 土壌改良には資材を入れることに以外にも方法があります。それらについても紹介します。
そこで今回は、土作りに必要な材料の紹介、土作りの時期と手順と注意点について紹介します。
家庭菜園にとって良い土とは
団粒構造を目指す
家庭菜園で良い土といえば、野菜が病気にならずにすくすく育つ土です。 そのためには、下記のような土でなければなりません。
水はけと水持ちは一見相反する特性のように見えますが、団粒構造によって可能になります。 団粒構造とは、微生物や虫の糞などの粘着性によって、土が小さな塊(団粒)になることです。
団粒構造になると、ひとつひとつの団粒は水分を含んで水持ちが良くなりますが、 団粒と団粒の間には適度な隙間があり、排水性と通気性が良くなります。
団粒構造になっていない土は、カチカチに固められて水はけが悪くなってしまいます。 耕してもすぐに固められてしまいます。 土を握った時に全然固まらなかったり、指で崩してもほぐれない場合は団粒構造になっていません。 そのままでは野菜が育ちにくいので対策が必要です。
野菜が育つためには、下記のような土であることも重要な要素です。
簡単に実現するには培養土を活用
このような土を手取り早く実現するには、市販されている培養土を使用することです。 プロが配合しているので初心者には最適です。 またある程度の汎用性があり、さまざまな種類の植物を育てることができます。 また、〇〇専用の培養土なども売っています。
もし自分で配合したいのであれば、赤玉土に腐葉土と堆肥や肥料を混ぜるだけでも、 培養土が作れます。自分好み、野菜の特性に合わせた土作りができれば家庭菜園者として一人前です。
プランターであれば、市販の土を使用しても良いのですが、 畑では土全てを市販品で賄うのには金銭的に無理があります。 そこで重要なのが土づくりです。
土作り(土壌改良)の重要性
畑の土を理想の土にするために、足りない要素を外から足してあげます。 水はけが悪ければ、水はけの良い砂を混ぜたり、団粒構造にするため、 微生物の養分となる腐葉土を入れたりします。 理想の土作りには何年、何十年もかかりますが、徐々に美味しくなっていく野菜を楽しめるのは、 家庭菜園の醍醐味です。
また、一時的に理想的な状態にできたとしても、時間が経つことでバランスが崩れてしまいます。 そこで毎年資材投入などをして、土作り(土壌改良)を行う必要があります。
土壌改良の目的は?
家庭菜園で育てる多くの野菜が、海外で生まれたものです。 そのため、現地の土壌条件に合わせた方がよく育ちます。 そして栄養素が豊富になり、美味しくなります。
野菜ごとに土壌条件が違うので、毎回土壌改良をした方が良いといえます。
苗床の土は少し違う
ここまでは野菜の苗を育てる土について解説しましたが、 種にとって最適な土は少し違います。 種や発芽したばかりの幼苗は、栄養分をほとんど必要としません。
その代わり病害虫の被害に遭いやすいので清潔さが求められます。 また、発芽するためには水分が必要なため、高い保水性も重要です。 そのため畑の土より、専用の土を使うことをおすすめします。
畑の土はどんな土?
土壌改良する前に、まずは自分の畑の土がどんな状態か確認してみましょう。
水はけの確認
まずは水はけの具合を確認します。 水はけは、下記の3種類に分けられます。
水はけは、湿った状態で土を握ってみるとわかります。 握った時にすぐに崩れたら、砂質です。 逆に固まってしまったら、粘土質です。 ふんわり固まっているけど、指で押すと崩れてしまう状態なら、中間質です。
多くの野菜が中間質を好みます。砂漠のようなところが原産の野菜であれば、もう少し砂質よりが良い場合もあります。
多少の水はけは畝の高さでも調整ができるので、それほどシビアに考える必要はありません。
団粒構造の確認
団粒構造は理想の土に近づいている証です。団粒構造になっていなければ、土壌改良を頑張る必要があります。
確認方法は、ペットボトルなどの容器に、土と水を入れて、蓋をした後によく振ります。 しばらくすると水と土が分離してきます。
この時間が短ければ、砂質か、団粒構造ができている良い土です。目安は5分以内です。
逆に30分以上経っても分離しない場合には、団粒構造ができていない悪い土、もしくは粘土質です。
土壌酸度(pH)の確認
作物によって適した土壌酸度が違います。 確認する場合は、土壌酸度計(pHメーター)を使うと、簡単です。 土に刺すだけで測ることができます。 電池も必要ないものも多いので、手間なく長く使えますよ。 私が使っているものは↓
通常、雨にさらされた土地は酸性に傾いています。 酸性に傾いていると、カルシウム、マグネシウム、リン酸などが少なくなり、野菜の生長に悪影響を及ぼします。
そのため、アルカリ性の石灰資材を使って、中性に近づける必要があります。
土壌改良材とは?
土壌改良で使う資材を土壌改良材と言います。 この土壌改良材を土と混ぜることで、理想の土に近づけます。
土壌改良材にはたくさんの種類があります。 ここでは、代表的な土壌改良材を紹介します。 土壌改良の効果と、必要な土壌改良材は下表の通りです。
土壌改良方法 | 土壌改良材 |
---|---|
水はけ・通気性の向上 | 牛糞堆肥、腐葉土、ピートモス、もみ殻、もみ殻くん炭、パーライト、バーミキュライト、バーク堆肥 |
水持ち・保肥力の向上 | 牛糞堆肥、腐葉土、ピートモス、パーライト、バーミキュライト |
酸度調整 | ピートモス、苦土石灰、消石灰、もみ殻くん炭 |
生育促進 | もみ殻くん炭、微生物資材、肥料、ぼかし肥 |
病害虫の予防 | 微生物資材 |
栄養成分の向上 | バーク堆肥、肥料、ぼかし肥 |
家庭菜園の土作りにはどの肥料を使う?
植物が育つためには、土中の栄養分を吸収します。 そのため、土の中の栄養分は徐々に不足していきます。 成長した植物がそのまま土に還れば循環するのですが、人間が収穫してしまうため、 次の植物を育てる栄養素が足りなくなります。
また、美味しくなるように品種改良されている野菜たちは、 肥料が好きになっています。そのため、栽培前に撒いた肥料だけでは、 栄養不足になってしまう野菜も多いです。
そうならないためにも肥料は必須です。家庭菜園で使う肥料には大きく分けて、 有機肥料と化成肥料の2種類があります。
有機肥料
油かす、魚粉、骨粉などが有機肥料です。 有機肥料のほとんどが天然由来のものです。
基本的にはそのままでは植物に吸収されないため、即効性はありません。 分解されることにより、ゆっくり長く効くのが有機肥料です。 臭いがあるため、室内では使いづらいですが、有機野菜を作るなら必須となります。
化成肥料
主に人工的に化学合成されたり、採掘された肥料です。 速効性があるものや、長く効くものなどさまざまな種類があります。 清潔で臭いもなく使いやすいので、室内でも使用可能です。
初心者におすすめなのは化成肥料
肥料は少なくても発育が悪くなるし、多すぎると枯れてしまいます。 適量を施すのが初心者には意外と難しい作業です。
有機肥料は効き目が遅いので、初心者では効果が実感しづらく、 多くなりがちです。その点、化成肥料は即効性があり、効果を実感しやすくなります。 初心者には化成肥料の方が扱いやすいでしょう。
しかし、化成肥料だけを施していると土がどんどん痩せていってしまいます。 有機肥料と合わせて使うことを心がけましょう。
家庭菜園の土作りにはどの堆肥を使う?
有機物を入れることで、土がふかふかになると同時に、微生物の棲み家になります。 いろんな種類の微生物が増えることで、病原菌を追い出すことができるので、病気になりにくくなります。
植物性堆肥
植物性堆肥は、落ち葉、わら、バークなどの植物を原料として作られた堆肥です。 肥料分は少ないですが、土壌改良効果が高いのが特徴です。 土に混ぜることで、良い土の条件である、水はけ、水持ち、通気性を兼ね備えた土にしてくれます。
動物性堆肥
動物性堆肥は、鶏ふん、豚ふん、牛ふん、馬ふんを発酵させた堆肥です。 植物性堆肥より土壌改良効果が若干薄いものの、肥料効果があります。 家畜の種類によって、効果や持続時間が違うので、組み合わせることで、 さまざまな場面に対応できます。
しかし、動物性堆肥は自分で作ることが難しいので、購入する必要があります。
生ごみ堆肥
生ごみ堆肥は生活から出た生ごみを堆肥にできるので、地球にも経済的にも優しい堆肥です。 土壌改良効果は薄いですが、栄養価が高いです。
家庭菜園の土作りに酸度調整は必要なの?
多くの野菜は、中性から弱酸性を好みます。 しかし、土は放っておくと酸性になってしまいます。その理由は下記の4つです。
そこで、酸性に傾いた土を弱酸性から中性に戻してあげます。 そのことを酸度調整といいます。酸度調整には下記の材料が使われます。
もし、石灰を入れすぎたなどの理由で土がアルカリ性になってしまった場合、 放置しておけばいずれ酸性になります。 しかし、長い時間がかかるため狭い畑では放置しておくことが難しいと思います。
そのような時には、pH無調整のピートモスを混ぜることをおすすめします。 1平米あたり1kg強を混ぜることで、pHを1下げることができます。
家庭菜園の土作りの時期と手順
土作りの手順
土づくりの時期
土作りは野菜を植える1ヶ月前からスタートすることをおすすめします。 早すぎると雑草の寝床になってしまいますし、遅すぎると土が馴染んでおらず、生育に悪影響が出ます。
植え付けまで時間が無いときは、2週間前からでも可能です。
石灰と肥料を同時に施すのはやめましょう。 せっかく撒いた肥料が石灰と反応して、アンモニアガスになってしまいます。 肥料としての効果がなくなるだけではなく、植物を枯らしてしまいます。
最低でも1週間以上先に石灰を施しましょう。
土作り2年目からの注意点
土作り2年目からは気をつけなければいけないことがあります。 それは、連作障害と土のリサイクルです。
連作障害
多くの野菜には連作障害があります。 連作障害とは毎年同じ場所で同じ科の植物を育てているとその植物に悪影響を及ぼす虫や菌が増えて、 生育が悪くなることです。 土の中の特定の栄養素だけが無くなって生育が悪くなる場合もあります。
そうならないために、毎年違う場所で育てる輪作を行うのが一般的です。 輪作をするほど土地がない場合や、輪作をしたくない場合には、対策が必要です。
土のリサイクル
さまざまな問題があり、2年以上続けてプランターの土を使い続けることは避けた方が賢明です。 しかし、プランターの土を毎年破棄するのはもったいない。 そこで、土のリサイクルをおすすめします。
これも土壌改良!太陽光消毒・天地返し・寒起こし
太陽光で害虫と菌を殺す
野菜を育てると、土の中には有害な昆虫や、菌が増えてしまっています。 そこで、太陽光を使って蒸し焼きにする方法があります。
土を濡らして、ビニールマルチをかぶせます。 そのまま太陽光に当てておくと、60℃以上に達するので、表層の害虫や菌が消滅してくれます。
天地返し
深いところにあった土と、浅いところにあった土を入れ替えることを天地返しと言います。 畝を立てるところに溝を掘るときに、下記のことをすると天地返しができます。
天地返しすることで、表層にあった害虫や菌を、野菜の成長に影響がないところに閉じ込めてしまいます。 深いところにあった、新鮮な土を使って野菜が育つので、連作障害になりにくくなります。
その代わり、土壌改良をしていない土になるので、堆肥や肥料はいつもより多く必要になります。
寒起こし
寒起こしは、寒い間に固まった土を掘り起こしておくことで、下記のような効果が得られます。
まとめ
今回は、土づくりの概要について紹介してきました。
土づくりは奥が深く、理想の土になるのに何年もかかります。
少しずつ改善していきましょう。