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ずぼらは毎年耕さない!根と土壌生物が耕してくれる自然耕栽培

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野菜を栽培する前は必ず耕さないといけないと思っていませんか?

一般的に行われている慣行栽培では、年に1、2回畑を耕さなければいけません。

しかし、耕さなくても栽培できる方法があります。 それが自然耕栽培です。

そこで今回は、自然耕栽培について紹介していきます。

この記事はこんな人におすすめ!
  • 土づくりに興味がある人
  • 除草が嫌で、何か良い手がないか探している人
  • 自然とともに菜園作りがしたい人

自然菜園について知りたい人は、まずはじめにこちらをご覧ください。

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自然耕栽培とは

自然耕栽培とは、自然の力を借りて栽培する方法で、簡単に言うと放置するだけで耕さない栽培方法です。「本当に放置したままでいいの?」と疑問に思うかもしれませんが、いいんです!

自然耕栽培では、放置が鍵を握っていると言っても過言ではありません。

自然耕栽培の分類

以下に露地栽培の栽培方法の違いについて表にまとめたので確認してみましょう。

農法農薬施肥耕起除草
慣行栽培する化学肥料するする
有機栽培しない堆肥するする
自然農法しないしないしないしない
自然農しないしないしないする
自然栽培しないしないするする
栽培方法の種類

注意:(地域や個人の解釈・考え方によっては表の分類が異なる事もあります。)

慣行栽培は、土と水、肥料で野菜を育てる昔から行われている方法です。

慣行栽培や有機栽培は機械を使って畑を耕したり、化学肥料を使ったりと、お金と手間が掛かります。しかし害虫被害は抑えられ、栄養も十分行き届き、収穫量も多く、形のそろった野菜ができます。

「自然」と言葉がつく方法は農薬と肥料は使用しません。しかし、耕起と除草は農法によって変わります。自然耕栽培は自然農法に分類され、不耕起と同じと捉えてもいいでしょう。

自然耕栽培は最初に少しの手間(畝上、苗植え)が必要ですが、あとはほったらかしで自然の力にお任せです。お金も手間も掛かりません。

しかし自然にまかせているので、慣行栽培や有機栽培と比べると状況によっては、収穫量が少なく形がそろっていない野菜ができる可能性があります。

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自然耕栽培は自然の力を借りる

自然耕栽培に必要なものは以下の通りです。

  • 雑草:根が枯れた後の空洞
  • ミミズ:働きによって得られた団粒構造
  • モグラ:土を耕す
  • 微生物:糸状菌の働き

このように自然耕栽培に必要なものは自然界にあるものばかりです。逆に人の手が加わると自然界のバランスが崩れ、それぞれが機能しなくなり自然耕栽培がうまくいきません。

雑草の役割

雑草の根は寿命が来ると枯れて微生物により分解されます。 そうすると毛細血管のように張り巡らされていた根があった部分に空洞ができ、これが水や栄養分の通り道の役割をします。

ミミズは何役もしてくれる

糞が栄養になる

ミミズは落葉などの有機物を食べて、排せつしながら土の中を動き回っています。

そして食べたものを消化するため、体内でいろいろな酵素を分泌しています。この酵素が糞に混ざり、土の中でも効果を発揮し続けます。

さらに、糞には窒素やリン酸などの水に溶けやすい養分も含まれているので、土壌に必要な栄養分を補ってくれています。

ミミズは落葉などを食べる時に大量の微生物も一緒に飲み込み、排せつ時には微生物も一緒に土中に排出されます。排出された微生物は生きたまま土の中で活動し、腐葉土に必要な窒素・リン・カリウムなどのもとになってくれます。

体のヌメヌメも土壌改善に役立つ

ミミズを触ったことがある人は想像できると思いますが、ミミズの体にはヌメヌメとした粘液をまとっています。

この粘液にも窒素が含まれており、土の中を動き回ることで窒素を補充しながら、土をかき混ぜてくれます。その結果として土壌の性質が改善されるという効果を生み出しています。

土の団粒構造を作る

さらにミミズの働きによって小さな土の固まりを作るのですが、このことを団粒構造(だんりゅうこうぞう)と呼びます。

団粒構造が無数にある畑では、水の保水と必要以上の養分の流出を防ぐ役割があります。(団粒構造については後ほど詳しく説明します。)

モグラは悪者?

モグラは畑を荒らすので悪者のイメージが強いですが、実は良いこともしています。

空洞が野菜を枯らすことも

野菜の根回りをモグラが掘ると空洞ができるため根が乾燥し、野菜が枯れてしまいます。 また、爪で野菜の根にキズを付けて枯れてしまうこともあります。

そのため、モグラは農家の天敵とも言えます。

畑の野菜苗周辺の土が掘り返されて盛り上がっている場所を見つけたら、すぐに足で踏みつけて穴をふさぎましょう。処置が早ければ野菜も息を吹き返す可能性があります。

畑を耕してくれる

少しだけ専門的な話をすると、落葉や生き物などの有機物の分解には発酵と腐敗の二つがあります。人間は発酵物を食べ、ウジ虫や害虫たちは腐敗しているものや腐敗しそうなものを食べて栄養を体内に吸収します。

畑のミミズ(フトミミズ)は腐りかけた物を食べるので、空気の少なく固い土やわずかな腐敗臭のする土に多く発生します。

モグラはそのミミズや幼虫などを食べるので、ミミズをさがして土の中を掘り進めます。これが結果として土を耕してくれているのです。

掘れば掘るほど、空気を多く土の中に運んでくれるので、腐敗状態にあった土を自然と発酵状態にもどしてくれます。

害虫も食べてくれる

発酵状態になるとミミズが住み辛くなるので腐敗状態の畑に移動しますが、モグラもそれに釣られて一緒にいなくなります。

しかし、ミミズ以外の幼虫(ネキリムシ、ヨトウムシなど)は野菜の根を食べて被害を出しますが、その幼虫もモグラが食べてくれるので、害虫対策にも役立っています。

そのため、モグラ対策を行うと害虫被害が拡大する恐れも考えられます。モグラ対策と害虫対策のメリット・デメリットおよび費用対効果をよく検討したうえで後悔のないように行いましょう。

モグラを退治する場合

モグラには絶滅危惧種・準絶滅危惧種の種類があり、退治には注意が必要です。 退治というよりも畑から追い払う作業を行いましょう。

モグラの生態は以下の通りです。

  • 木の根などの土の中に巣を作り、餌を捕る場所・餌を保管する場所・休憩する場所・水を飲む場所・身を隠す場所・それぞれの場所を往来するトンネルで構成されています。
  • 繁殖期になると行動範囲が広くなります。

モグラの退治手順は以下の通りです。

  1. モグラが掘り返してできた土の山を探し、見つけたら一度足で踏み固めます。
  2. モグラは、本道と呼ばれている頻繁に通る道であれば「通り道をふさがれて邪魔だ」と思い、掘り返す習性を持っています。(掘り返していなければ本道ではないため、二度と通る可能性が低いので違う場所を探しましょう。)
  3. 本道が見つかればいくつかの方法で退治します。モグラは目が見えないため、嗅覚と聴覚が発達しているので、これを逆に利用します。
  4. 嗅覚:本道に忌避剤(きひざい)を2m置きに設置(または散布)する。
  5. 聴覚:モグラの嫌がる音波発生装置を設置する。

なお作業中は以下の点に注意しましょう。

  • モグラを捕獲した場合、噛んでくるので注意しましょう。
  • 退治作業は、必ず巣がある中心部から外側に向かって設置し、外へ追い払うようにしましょう。

モグラを簡単に退治したいなら

上記の方法が面倒なかたには【モグラ撃退グッズのモグラン】がおすすめです。

土に埋めるだけで無害なので安心して使用できます。また効果が無かった時の返金保証と全額キャッシュバック制度もあるので、試してみてはいかがでしょうか。

微生物の働きも重要

家庭菜園では糸状菌という微生物が必要不可欠です。微生物=ばい菌というイメージがあるかもしれませんが、糸状菌【名称:アーバスキュラー菌根菌】は地球上の陸上で生息している植物の80%に共生しています。

ただし、糸状菌にも種類があり、落葉や有機物(死骸など)を分解してくれる糸状菌、植物と共生する糸状菌(菌根菌)などさまざまです。

養分の吸収を助ける糸状菌は前述した菌根菌でないと思ったような働きはしませんが、ほとんどの土壌には生息していると言われています。

菌根菌は植物の根から侵入し共存してくれるおかげで、野菜が必要とするリン酸などの栄養分の吸収を助けてくれます。逆に言うと菌根菌がいないと思うように栄養分を取り込むことができないのです。

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自然耕栽培には団粒構造が欠かせない

ここからは、今まで解説した雑草やミミズ、微生物の働きが土にどのような影響を与えるか解説します。

団粒構造とは

団粒構造を一言でいうと、保水性、通気性、排水性に優れ、野菜に必要な栄養分も蓄えた小さな土団子の集合体です。

団粒構造はミミズや微生物などの働きで小さな土が団子状にくっ付いてできています。この団粒構造が無数にあることで、団子と団子の間に適度な隙間が多くできます。

団粒構造になることで野菜が根を張る

この隙間があることで空気や水の流れを良くし、微生物も活発に活動できる環境が整い、栽培に適した環境にもなります。さらに団粒構造が多いと土壌が柔らかくなり、野菜も深くまで根を張ることができるため、すくすくと成長します。

団粒構造は保水力と排水力がある

また、団粒構造は保水力と排水力があるため、たとえば大雨が降っても、必要な水分だけを吸収してためておき、不要な水は排水します。

この排水性が根腐れも防いでくれます。そして雨が止んだ後は、 野菜が必要な時に必要な分だけ水分と栄養を供給してくれる優れものです。

どんどん土が良くなる

一度、団粒構造の製造サイクルが整うと、あとはミミズや微生物がどんどん繁殖し、今まで以上に土壌が良くなってフカフカの土ができます。

さらに、土壌の生態系バランスが取れていると、病害菌や病害虫の異常繁殖も抑えられ、作物への被害も少なくなります。

有機栽培より簡単に団粒構造が作れる

有機栽培では自然耕栽培とは違い、もともと微生物が少ない土壌を人為的に作っています。ここに団粒構造を作るには、堆肥を入れることで微生物を増やすしかありません。

したがって、微生物の働きが悪いと感じたタイミングで堆肥を追加する必要があります。しかし、自然耕は勝手に増殖するシステムが整っているので、有機栽培のような作業はいりません。

団粒構造に興味がある方は、以下の記事もご覧ください。

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自然耕栽培のやり方

自然耕栽培のやり方はとても簡単です。手順は以下の通りです。

自然耕栽培の手順

  1. 作物を作る場所を確保したら、始めは畝を作るために耕します。
  2. この時に必要以上に雑草を抜かない事
  3. 耕したら、畝を必要な分だけ作ります。
  4. 苗を植えて、水をやります。
  5. あとは放置するだけです。

耕した時の雑草の根は取り除く必要はありません。時間がたてば自然に分解されて土に返りますし、次に植える野菜の栄養源にもなります。

5 年くらいたつと雑草の根が畝一面に広がってしまうので、目安として5年に一度は畝を作り直します。

その時にトラクターなどで耕すのではなく、スコップで雑草の根をきるように掘り返します。耕すことが面倒でも絶対にトラクターで耕さないで下さい。

何年も掛けて自然にできた生態系バランスが壊れます。バランスを正常に取り戻すまでに数年必要になるかもしれないので、十分注意してください。

注意点
  1. 雑草が生い茂っても、抜かないこと
  2. 肥料や農薬を使用しないこと
  3. 一度作った畝は5年間くらいは壊さないこと

まとめ

自然耕は、傍から見ればずぼらだと思われるかもしれませんが、きちんと理解していれば理にかなった農法と言えます。

「忙しいけど自分で野菜を作ってみたい」「重労働はしたくないけど、野菜は作りたい」「自分で作った無農薬の野菜を食べたい」と思われている方は、お住いの気候風土にあった野菜を育てて旬のおいしい野菜を食べましょう。

自分で育てたと思うとより一層美味しく感じるはずです。