畑の雑草ってすぐに生えてくるから、草むしりが大変ですよね。
でも、その雑草をうまくコントロールすることで、味方にすることもできるって知っていましたか?
そこで今回は、雑草を味方につける草マルチの効果ややり方、注意点について解説していきます。
- 草むしりが大変なので、回数を減らしたい
- 無料で簡単に土づくりがしたい
- 病害虫の被害を減らしたい
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草マルチとは

草マルチとは、野菜の根本に刈った草を敷いてマルチングすることです。
刈った草を畝に敷くだけで、自然に枯れて幼虫の住み家となり、それを微生物が分解して畑の栄養にしてくれます。
雑草は邪魔物と思われることが多いですが、雑草をうまく利用し野菜と共生できれば、成長の手助けをしてくれるのです。
草マルチの効果

草マルチには以下のような効果があります。
- 雨が降れば水を吸収し、晴れれば地表の乾燥を防ぐ
- 夏になれば直射日光を遮断して地温上昇を抑えて、水分の蒸発を防ぐ
- 冬には土を乾燥から守ってくれ、地温低下を防ぎ、保温してくれる
- 草の成長を適度に管理することで、雑草の増殖も抑えてくれる
- 雨が降った時の土の流出や泥はねを防ぐ
- 雑草の勢いを抑制
- 表層管理
- 自然耕の手助けをする
- 病原菌や害虫の繁殖を抑制
雑草の勢いを抑制
草マルチをすると雑草に当たっていた太陽光を遮ることができるので雑草の成長を抑えられます。
さらに草マルチが微生物などによって分解される時に発生する有機酸が、雑草の発芽や成長を抑制してくれる効果もあります。
表層管理
草マルチはとても優秀で、人で例えるなら夏には日傘をさして涼みながら水分補給をし、冬には防寒着を着て寒さ対策をしてくれる役割があります。 このように草マルチは季節の気候変化にも柔軟に対応してくれます。また地表の乾燥を防ぐ保水効果や、昼夜の急激な温度変化にも対応する保温効果もあり、根を守ってくれます。
自然耕の手助けをする
草マルチは自然耕に必要な土壌菌などの微生物の住み家としても役立ちます。
そして、微生物が草マルチを分解し、団粒構造に必要な腐植を作ってくれます。その腐植があればミミズの働きによって多くの団粒構造ができ、野菜が育ちやすい環境ができ上がります。
病原菌や害虫の繁殖を抑制
草マルチではさまざまな生物がバランスよく共存するので、野菜に害をもたらす病原菌や害虫の繁殖を抑えてくれる効果もあります。
草マルチのやり方と注意点

草マルチのやり方はとても簡単です。ここではやり方と注意点を説明します。
草マルチのやり方
草マルチのやり方はとても簡単です。
草マルチの手順
- 野菜の苗が小さい時は、苗まわりの雑草をこまめに刈る
- 野菜が大きくなったら、畝や通路に生えている雑草を株元5㎝くらいのところで刈る
- 刈った草を野菜の株元や野菜と野菜の間に敷く
- 雑草が伸びてきたら、また刈って、はじめに敷いた草の上に被せるように敷く
- これを繰り返す
野菜の苗が小さい時と大きくなってからでは、雑草を刈るタイミングが異なります。
野菜の苗が小さい時は、雑草に栄養を取られないように、また日光を遮られないように、雑草をこまめに刈りましょう。とくに苗の周りを刈ります。
野菜が大きくなってからは、草マルチにするための雑草を育てるイメージで、早く刈り過ぎないのがポイントです。野菜の邪魔になる雑草を優先的に刈り取りましょう。
草マルチの注意点
草マルチには注意点があり、注意点を理解しないと意味がないかもしれません。
草マルチの注意点
- 草を根元から抜いたり、根本付近で刈らない
- 土質によって草マルチの量を調整する必要がある
雑草を根元から抜いたり刈ってしまうと、雑草が生えなくなったり、成長が遅くなり草マルチの材料が無くなってしまいます。
また、粘土質が多い畑に刈った草を大量に敷くと、畑が酸欠状態になります。そのため、土質を調べてから適量に調整する必要があります
草マルチができない畑もある
あなたが畑を所有している場合や、借りた畑が「雑草を生やしてもいい」場所であるならば 問題なく雑草を育てて草マルチにすることができます。
しかし、市民農園や貸し農園の場合、地域や場所によっては 「畑に雑草を生やしてはいけない」と自治体の条例や管理業者のルールとして決められていることがあります。
そのような場合には常に雑草を抜き、きれいにしておく必要があります。 その結果、草マルチに使用する雑草が足りなくなります。
そこで、雑草が育てられない場合には、緑肥作物を活用するとよいでしょう。
土地が沢山ある場合は、緑肥作物は畑の中ではなく、少し離れた空き地や畑に影響のない畦道(あぜみち)や土手などを利用しても問題ありません。
草マルチが成功すると土壌菌が増える
刈り草を一カ所にまとめておき、地面の辺りをめくると草が腐っている(発酵している)のを見た経験があると思います。これは微生物が草を分解している証拠です。
また、白いカビのようなものがあれば、それは放線菌が繁殖している証拠なので、多くの土壌生物が存在している目安にもなります。
そして、発酵した雑草の周辺には団粒構造といってコロコロとした団子状になった土の固まりがあるはずです。この団粒構造はミミズなどの土壌生物がうまく機能している証拠です。
しかし、草を抜いて地表をむき出しにすると、紫外線が苦手な土壌生物は住めなくなり、逃げだすので注意しましょう。
草マルチを敷いておくことで紫外線を遮断し、土壌生物や土壌菌を守ってあげる必要があります。
苗の大きさ別、草マルチのやり方

繁殖力の強い雑草と野菜が共存するには、野菜がしっかり根を張って自立するまで、雑草の勢いを抑える必要があります。ここでは雑草の勢いを抑える方法を紹介します。
苗が小さいうちは根本根圏に注意する
野菜の幼根が張る範囲のことを「根本根圏(ねもとこんけん)」といいます。
そして根本根圏には、土壌内に雑草の幼根がすでにあり、お互いどうやって根を伸ばそうか、けん制し合っています。
ただし雑草のほうが成長が早いのでそのままでは野菜が負けてしまう可能性が高いです。
そこで、種まきをするまき床や苗の根鉢周辺(根本根圏)にある雑草の根を切る必要があります。また、雑草の種がある表面の土を取り除いて、しばらく草が生えてこないようにします。
苗が大きくなるまでは我慢
種まきや定植してから1~2カ月の間は、野菜の根と雑草の根がお互いに範囲を広げるために争っています。
そのため雑草が野菜よりも大きくならないように、1週間に1回は雑草を刈り取り草マルチの層を厚くします。
苗が大きくなったら自立根圏を意識する
植物が自力で根を張る範囲のことを「自立根圏(じりつこんけん)」といいます。 この自立根圏の草を刈り、草マルチにして雑草の勢いを抑えます。
自立根圏の刈り取り範囲は、野菜の株元から葉先の下あたり(できれば葉先から10㎝外側まで)を目安にします。野菜が成長するにつれ、葉も外へ広がっていくので、成長に合わせて刈り取り範囲も広げましょう。
自立根圏で野菜がしっかり根を張ると、雑草が根を張る場所がなくなるので結果として雑草は生えなくなります。
共存根圏の草を刈る
自立根圏の外側は「共存根圏(きょうぞんこんけん)」と呼び、草と野菜の根が共存している範囲です。
共存根圏では、雑草が野菜より大きくなる前に草の根本5㎝のところで高刈りして、草マルチにします。
季節別、草マルチのやり方

草マルチは季節によっても、やり方が変わります。
冬草は刈らなくてもよい
ただし、すべての草を刈る必要はありません。
草には「冬草」と「夏草」の2種類あり、冬草の成長は上に伸びるのではなく、地表を這うように育つ性質があります。そのため、根本根圏では除去が必要ですが、野菜が冬草よりも大きく成長したら、刈らなくても野菜と共存してくれます。
また雑草だからと何でもかんでも刈り取ると、場合によっては雑草の生育を助長することになり、雑草だらけになることもあるので注意が必要です。
刈り取らなくて良い草(背丈の低い草)
- 冬草の場合:ハコベ、オオイヌノフグリ、ナズナ、オドリコソウなど
- 夏草の場合:スベリヒユなど
梅雨から夏にかけては草マルチが重要
とくに夏野菜の梅雨時期には草マルチを徹底する必要があります。
雨が降るたびに草が伸びるので、野菜の生育を阻害しかねません。 また、梅雨明けの高温・乾燥を防ぐためにもこの時期の草マルチは徹底して行いましょう。
ただし、高温を好む野菜や果物は、地表温度を上げて、ある程度乾燥させた方がしっかりした根を張ります。そのため、定植後1ヶ月間は草マルチをしません。
高温を好む野菜には、ナス・トマト・オクラ・ピーマン・スイカ・メロンなどの夏野菜が該当します。
秋は食害に注意
秋野菜に草マルチをする場合は注意が必要です。 コオロギなどの虫が発生しやすくなり、食害される可能性が高くなるからです。
食害が心配される場合は、種まきした上や苗の株元は少し隙間をあけて草マルチするようにしましょう。
雑草との上手な付き合い方

雑草の成長は人の手でコントロールできます。
大きくなり過ぎた草は土壌生物でも分解に時間がかかるので、以下のポイントに注意して刈るようにしましょう。
必ず花が咲く前に刈り取る
雑草は必ず花が咲く前に刈りましょう。 種を付けてからでは遅く、増殖が止まりません。
また、二年草は越冬して翌年の春に花が咲くので、冬前の背丈が小さいうちに刈り取るようにしましょう。
刈り取る高さで生長速度をコントロール
雑草は、地面から5センチくらいの場所に生長点があります。 そのため、刈り取る高さを調整することで雑草の生長速度をコントロールできます。
刈り取る高さで生長速度をコントロール
- 地面すれすれのところで刈ると生長点が無くなるので、生長が遅くなる
- 地面から5センチ以上上で刈ると生長が早くなります。
数年に一度は草の根を切る
数年に一度は草の根を切りましょう。
放置しておくと、野菜を植えようとしても草の根ばかりになって、植える場所がなくなります。野菜を植える場所を確保するために、数年に一度は耕しましょう。
耕す方法は、スコップを土に刺すだけで十分です。 横に伸びている雑草の根を切るだけで、いったん生長が止まります。 余裕があれば、スコップで根を切った後に掘り返すとより効果的です。
モグラ対策をする
土壌が肥沃(ひよく)になるとミミズが多くなるので、モグラも増えます。
モグラは野菜を食べることはありませんが、ミミズを探し回っている時に、根菜や根を傷付けることがあります。また、地中に大きな空洞をあけるため、野菜に栄養や水分がいかず被害を出すことがあります。
そのため自然耕をするときでも、5年に一度は畑全体を耕しましょう。
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まとめ:草マルチで自然菜園を
今回は、雑草を味方につける草マルチの効果ややり方、注意点について解説してきました。
草マルチには、雑草の抑制や保温・保湿、病害虫の抑制など様々な効果があります。 しかもどんどん生えてくる雑草を刈り取って使うだけなので、非常に経済的です。
草マルチをやるときは、あまり早く雑草を刈ってしまうと、草が足りなくなるので少し生長させる必要があります。野菜の邪魔にならない程度に雑草を生長させるのがポイントです。
草マルチをマスターして、自然菜園に近づけましょう。