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自然菜園の3年計画を3ステップで解説!土づくりの方法を具体的に

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自然菜園を始めてみたいけど、何からやれば良いのか分からないと悩んでいませんか?

自然菜園は1カ月や2カ月では完成しません。 自然の力を利用して長期的に行う方法なので、焦らず気長に楽しく作業しましょう。

そこで今回は、3年かけてじっくり畑を育てて、自然菜園を成功させる方法を詳しく紹介します。

この記事はこんな人におすすめ!
  • おいしい野菜を手間なく作りたい
  • 自然菜園を始めてみたい
  • 草むしりが大変なので、回数を減らしたい

自然菜園について知りたい人は、まずはじめにこちらをご覧ください。

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ステップ1:自然菜園の初年度

自然菜園の野菜作りには「土づくり」が必須条件です。

生物たちが住みやすい環境の整った土壌には、微生物やミミズ、モグラなどの土壌生物が集まってきます。

その生物たちは土を耕し、野菜に必要な養分を蓄える働きをします。 そのためには、生物や野菜が育ちやすい「土づくり」が必要です。

では、初年度の作業は何をすればよいでしょうか。

畑の状況を確認する

まずは、畑の状況を確認して、「土の状態と草の種類」を判別します。 判別は以下の3つです。

  1. 段階0:畑ではなかった土地や荒地、冬草が生えていない土地、スギナなどが多い土地
  2. 段階1~2:化学肥料を使っていた慣行栽培の畑
  3. 段階3:長年、堆肥や有機質肥料を施し、無農薬栽培の畑

畑の状況によって、土づくりの過程が違ってきます。 そこで以下に段階別の作業を説明します。

段階0の場合:土づくりが最優先

段階0の場合は、「人が手を加えたことがない」「畑として利用したことがない」土地と判断していいでしょう。

まずは、畑として利用できるように土壌改良を行います。

この状態の土地では、酸性が強く、土壌生物も単純で宿根草(しゅっこんそう)が多いことが特徴です。 宿根草とは、多年草の一種で、枯れても翌年には花を咲かせます。

花を愛でることが好きな方には魅力的ですが、畑では厄介者です。 畑に宿根草が多く生えていると、野菜の成長を阻害するので除去が必要です。

土壌改良は以下の作業手順で行います。

(用意する材料)1㎡あたりの分量

  • 草木灰:100g
  • カキガラ石灰:100g
  • もみ殻くん炭:3L程度
  • 牛ふん主体の完熟堆肥:3~5L
  • 発酵鶏糞(油かすでも可):50~100g
  • 腐葉土:5L

(作業手順)

  1. 用意した材料を畑の全面にまく
  2. まいたら、クワやスコップで掘り起こす(目安:深さ30㎝程度)
  3. 掘り起こした土が固まっているようなら、細かく砕く
  4. 掘り起こしながら、雑草や石を除去する

これで畑の状態は、段階1~2になりました。

段階1以上の場合:畝立てを行う

畑の「初見が段階1〜2の状態」も同様に、畝立てからはじめます。

基本的な畝の方向は、「南北」です。 理由は、南側に草丈の高い野菜があっても、日差しや風通しを良くするためです。

畝立ての方法は以下の通りです。

畝立ての方法

  1. 畝の幅は、約1mにする
  2. 通路幅は、約50㎝にする
  3. 位置が決まったら、通路の土を畝の位置に盛土する
  4. 盛土の高さは10~30㎝にする

畝立ての注意点として、水はけの良い火山灰土は低く、水はけの悪い粘土質は高く畝を作ります。

畝立ての際に雑草があれば、「草の根は残して」刈り取ってください。 刈り取った草は捨てずに、草マルチとして使用します。

ただし生の草を土に混ぜると、繁殖して新たな芽を出すので注意しましょう。

[https://tachyon.work/saien/soil/ridge.html]

畝立てができたら再度、材料を施す

畝立てができたからと安心するのは、まだ早いです。 再度、材料を施して野菜が育ちやすい土の状態を作ります。

追加の作業方法を以下に説明します。

(用意する材料)1㎡あたりの分量

  • 完熟堆肥:1~2L
  • もみ殻くん炭:1L
  • 米ぬか(ボカシ肥):1L

(作業手順)

  1. 完熟堆肥ともみ殻くん炭をまき、クワか熊手で畝の深さ10~15㎝程度まで耕す
  2. 米ぬかをまいて、熊手などで畝の表層5㎝程度に混ぜ込む
  3. 乾燥しないように、クワや平らな板を使って畝をたたいて鎮圧する
  4. 畝全体に草マルチを敷いておく

段階3の場合は、もみ殻くん炭1Lだけでも十分です。 そのため、段階3の場合は、「作業手順の2番目」からはじめてください。

作業上の注意点として、米ぬかは「生」なので地中深くまで混ぜないことです。 米ぬかの分解には窒素を多く必要とするため、土壌が窒素不足になり、悪影響を及ぼしてしまうからです。

また、米ぬかを多くまき過ぎると、「カビ」の原因や「ナメクジ」が大量に寄ってくるので、必要以上にまくのはやめましょう。

通路も自然耕に利用する

通路を遊ばせるのはもったいないので、緑肥作物やハコベを使って有効利用しましょう。

やり方は簡単で、通路の中央に1条「イネ科とマメ科の緑肥作物の種を混ぜてまく」だけです。

簡単ですが、重要なポイントがあります。 それは、まいた後には「大きくなるまで種を踏まないこと」です。

畑の段階が0~2の場合は、畑の状態が不安定で有益な微生物もあまりいません。 そのため、良質な畑に生えているハコベを土ごと3mおきに移植する方法もあります。

土ごと移植すれば、有益な微生物も一緒に移せて自然耕の手助けになるメリットがあります。

緑肥作物が30㎝以上に成長したら、株元から10㎝程度上から刈り取って草マルチに使います。 このとき、必ず株元10㎝は残してください。

残していれば何度でも再生するので、草マルチとして何回でも利用できます。

雑草を育てるのかと不安になるかもしれませんが、 翌年から畑にとって有益なワンランク上の草が生えるようになり、 結果として野菜の生育も良くなります。

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ステップ2:自然菜園の2年目

自然菜園の2年目は我慢と忍耐の年です。

ステップ1の初年度は、畑を耕して雑草などを除去したので、野菜優先で栽培できます。 しかし、2年目からは雑草と害虫が増加します。

春には驚くほどの雑草が畑一面に生えたり、多年草の根が畑を占領しているので野菜の生育を妨げます。

草を見ただけでうんざりするかもしれませんが、自然耕ではこの草が重要な役割を持っているので、楽しみながら草刈りをしましょう。

害虫も初年度にはいなかった「野菜を食べる害虫」が増えるので、害虫対策が必要です。

クラツキ・マチクラツキを有効的に活用する

みなさんは、「クラツキ」「マチクラツキ」をご存じでしょうか?

クラツキ(鞍築)とは、あぜの作り方の一つです。 この方法は局部的に用いられ、夏野菜や品種改良が進んだ結球野菜におすすめです。

特に畑の段階が3以下の場合には、積極的に活用してください。

クラツキ

「クラツキ」のやり方は以下の通りです。

(作業手順)

  1. 畝の作付け位置に20㎝四方の穴を掘る
  2. その穴に完熟堆肥を一握り(50~100g)入れて、土とよく混ぜる
  3. 掘り起こした土を穴に戻して、山状に少し盛り上げる
  4. その後、手でしっかりと鎮圧する

土を山のように盛り上げておくと、定植する際に位置を見つけやすいです。

マチクラツキ

次は「マチクラツキ」のやり方を説明します。

「マチクラツキ」の作業手順は「クラツキ」と同じです。 ただ、目的と場所が違います。

マチクラツキは、野菜の株間や株から30㎝程度離れた場所に「クラツキ」を行います。 目的は、定植している野菜の株元から養分を補給するのではなく、自立根圏まで伸ばした根に養分を補給することです。

雑草の成長を抑制する

野菜の根本根圏にある雑草の根は野菜の成長を妨げます。 そのため、根本根圏内にある雑草の根を切る必要があります。

種まきの時に行う作業方法は以下の通りです。

(作業手順)

  1. 根本根圏の表土を定植位置の両側によける
  2. スコップやのこぎりなどを使って、雑草の根を切る
  3. 除去できる根は土から掘り起こして除去する
  4. 除草が済んだら、土を戻す
  5. 刈り取った雑草を根本根圏、自立根圏に重ねて敷く(草マルチ)

苗を定植する場合は、根本根圏より広い自立根圏まで根切りを行うとよいでしょう。 刈り取った草を根本根圏や自立根圏に敷くことで、草の生育を抑制できます。

土着菌を増やす

2年目以降は、草マルチと米ぬか(または油かす)を使って土着菌のぼかし肥を作ります。

やり方は、草マルチの上から米ぬかをまくだけです。

あとは土中の微生物の働きで草などを発酵させるので、自然に堆肥化して団粒構造ができあがります。

また、秋から冬に枯れた草や野菜の残渣を畝の上に敷き詰める方法もあります。

枯れ草や残渣の上に、米ぬかを1㎡あたり1㎏程度まいておけば、腐敗化や団粒構造が促進されます。

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ステップ3:自然菜園の3年目以降

3年目にもなると、畑の状態も野菜の生育に適した環境になりつつあります。 そこで肥沃(ひよく)な環境だからこその対策などを紹介します。

自然に育つ健康野菜

畑の環境がよくなれば、冬草のハコベやオオイノフグリなどの繁殖が広がります。 その恩恵で、夏草の生育を抑制してくれます。

その上、土もよく肥えているため、堆肥やもみ殻くん炭などを施肥しなくても草マルチだけで野菜が育ちます。

しかし、全く必要がないわけではありません。 生育期間が長く肥料を好む野菜には、草マルチに米ぬかを振る程度施しましょう。

土の状態を見ながら行いますが、過剰な施肥は病害虫の被害にあうので注意が必要です。

この状態になれば、風味や保存性に優れた野菜が栽培できますが、ここまでくるのに最低でも3年はかかります。 地道に頑張りましょう。

モグラやネズミ対策

3年目になって土が肥えてくると、土壌生物も集まってきます。 特にモグラや野ネズミなどの穴をチラホラ見かけるようになります。

対策は以下の通りです。

モグラ・ネズミ対策

  • モグラの穴を見つけ次第、埋める
  • ネズミの越冬場所を壊す
  • ネズミが隠れそうな草は伸ばさず、短く刈り取る
  • 出没場所に、根に毒を持つスイセンやヒガンバナを植える

スイセンはニラと間違える危険もあるので、植える際には注意しましょう。 スイセンを食べると食中毒になる可能性があります。

上記以外に、ネギを植えて土寄せしながら耕す方法や、少しずつ畝をたて直しながら穴を壊す方法もあります。

モグラは土中を掘るので野菜に被害も出ますが、「耕してくれる」と思えば多少の被害も許せるかもしれません。 大らかな気持ちで自然を楽しみましょう。

被害が気になる方はモグランを試してみてもよいでしょう。

ミミズは適量が大事

「畑はミミズが多い方が良い」とよく聞きますが、「シマミミズ」が多すぎると害になります。

一般的な畑でよく見かけるミミズは「フトミミズ」です。 しかし、病害虫の多い畑では「シマミミズ」が大量に発生します。

シマミミズは、未熟な養分の濃い有機物が大好物です。 そのため、シマミミズが大量発生している畑は、養分過多になっている証拠です。

養分過多の畑では以下の弊害があります。

養分過多の弊害

  • 有害な微生物が増加
  • 野菜も肥満になり、病害虫の被害を受けやすい
  • ミミズをエサとするモグラがも増え、被害を受ける

適正な数のミミズがいる畑は良い畑で、病害虫やモグラ被害も減少します。