天恵緑汁をご存じですか?
天恵緑汁は、ミネラルと微生物がたっぷりの植物活性剤です。 ぼかし肥料とともに、自然農法には欠かせない農業資材と言えます。
そこで今回は、天恵緑汁の作り方、使い方について紹介します。
天恵緑汁とは植物活性剤
天恵緑汁(てんけいりょくじゅう)、別名(よもぎ発酵液)とも言う発酵液です。
天恵緑汁は韓国の自然農法で使用されている活性剤で、韓国の趙漢珪(チョウハンギュ)さんが考案したとされています。
天恵緑汁の原料はヨモギを主原料とし、そこに黒砂糖を混ぜるだけのシンプル素材です。 自然由来の酵素液なので、農薬や化学肥料はいっさい入っていません。
天恵緑汁にはヨモギのエキス、黒砂糖のミネラル、ヨモギの葉についていた微生物がたっぷりと含まれています。 ヨモギのエキスと黒砂糖のミネラルが微生物の活性を促し、生きた酵素液を作ります。
そして、時間をかけてできた天恵緑汁の原液を薄めて野菜に散布すると、病気になりにくく、 元気になったり、土壌改良の手助けまでしてくれる効果があります。
つまり、天恵緑汁は植物を元気にする植物活性剤といえます。
また、肥料効果はありませんが、追肥の効きを良くする効果があります。
天恵緑汁の効果・効能
天恵緑汁には以下のような効果や効能があります。
畑や野菜に散布するだけではなく、ぼかし肥料の発酵剤としても利用できます。
防虫効果
ヨモギにはシネオールと呼ばれる香り成分が含まれており、 蚊やハエなどの害虫が嫌がる臭気を発するので防虫効果があります。
天恵緑汁を野菜に散布すればアブラムシなどの害虫も寄せ付けない効果が期待できます。
病気対策
天恵緑汁の主原料であるヨモギには、アレロケミカルという物質を出して動物や微生物を寄せ付けない効果があり、 野菜の病原菌である微生物も抑制してくれます。
うどんこ病やべと病、赤さび病などにも効果が期待できます。
植物を元気にする
天恵緑汁にはヨモギについている有益な微生物が多く生息しています。
そのため、野菜に散布すれば乳酸菌や酵母菌などの働きにより、野菜の抵抗力がアップし、 病害虫からも守ってくれるので野菜が生き生きと育ちます。
土壌改良の手助け
天恵緑汁を土壌に潅水すれば、土壌内の微生物が増加するので土壌が肥沃になる手助けをしてくれます。
また、土壌改良にぼかし肥を使用することがありますが、ぼかし肥を作るには米ぬかと発酵の素が必要です。 米ぬかの発酵を促すのに様々な方法がありますが、天恵緑汁を添加すると微生物の働きを活発にさせることができます。
もちろん天恵緑汁だけを使っても、ぼかし肥を作ることもできます。
天恵緑汁の使い方
天恵緑樹を直接施す
天恵緑汁の原液は、そのまま使用せずに500倍に希釈してから使います。
ペットボトルなどの容器を使うと便利です。 500mLのペットボトルを使用する場合は、ペットボトルキャップを使って500倍希釈を測ることもできます。
キャップのスクリュー線の上ラインで5mLになります。 ペットボトルキャップは共通規格なので、どのキャップを使っても同じ量になります。
よって、500mLのペットボトルを使用する場合は、以下の方法で500倍希釈を測ることができます。
スクリュー線がわからない人は、キャップいっぱいの原液と500mLの水を合わせて、 その水を6倍の水で薄めれば500倍希釈になります。
薄めた天恵緑汁は、ジョウロで水やりをかねて与えるか、スプレーで葉水すると良いでしょう。
植物が成長する春から夏にかけては、3~4日に1回与えると効果的です。
ぼかし肥の発酵剤として使う
天恵緑汁は天然の微生物がいっぱい含まれているので、ぼかし肥料の発酵を助けてくれます。 ぼかし肥料とは、化成肥料の速効性と、有機質肥料の土づくり効果を併せ持つ最強の肥料です。
ぼかし肥料は自分で簡単に作ることができるので、チャレンジしてみてください。 ぼかし肥料の作り方は、 下のぼかし肥料の記事が参考になります。
基本的な天恵緑汁の作り方
基本的な天恵緑汁の作り方はとても簡単です。
天恵緑汁の材料
用意する材料は以下の2つだけです。
ヨモギは4~5月の栄養豊富な新芽が適しています。 また、なるべく早い時間に摘み取りましょう。できれば、日が昇る前が最適です。
なぜなら、日が昇ると葉の中に蓄えていた栄養分がエネルギーとして使われてしまうからです。
砂糖は白砂糖ではなく、ミネラル豊富な黒砂糖が適しています。 混ぜやすいように、粉末タイプのものを選ぶと良いでしょう。
ヨモギの新芽に付着している微生物が必要なので、洗い流さないのがポイントです。
天恵緑汁を作るための道具
天恵緑汁を作る道具として以下の物を用意します。
天恵緑汁を作る手順
天恵緑汁を作る手順は以下の通りです。
ヨモギを細かく刻む
ヨモギを細かく刻むことで発酵が早く進み、エキスがたっぷり出ます。道具を使う必要はないので、手でちぎりましょう。
容器のなかにヨモギと黒砂糖を交互に入れる
ちぎったヨモギを一面に入れたら黒砂糖を表面にまぶし、またヨモギを入れ黒砂糖をまぶすを繰り返します。
黒砂糖の重量はヨモギの半分ありますが、ヨモギと比べて体積が少ないので、粉砂糖はまばらになりますがそれで問題ありません。
重石を乗せる
容器にヨモギと黒砂糖を詰め込んだら、上に重りを乗せましょう。
重りは漬物石でも良いですし、ペットボトルに水を入れたものでもかまいません。
不織布で覆う
屋外で管理する場合は、虫よけのために不織布で覆いましょう。 不織布は新聞紙でも問題ありません。
風で飛ばないように、虫が入らないように、ひもなどで容器に結んでおきます。
雨が当たらない場所で1週間待つ
ここまでできたら、あとは日影に置いてヨモギについていた微生物に働いてもらうだけです。
雨が入らないように蓋をしておけば、数日で発酵が始まります。
天恵緑汁が完成する期間は温度によって変わります。以下の期間を参考にしてください。
エキスを取り出す
天恵緑汁が完成すると容器の下にエキスが貯まります。 容器を傾けてエキスを取り出しましょう。
量が少ないとぽたぽたとしか出てきませんが、落ちるのを根気強く待ちます。
取り出した原液を保管する
取り出したエキスが天恵緑汁の原液です。ペットボトルなどに入れて常温で保管します。 容器に入れるときは、茶こしなどでヨモギを取り除いておくとよいでしょう。
ペットボトルの中でも発酵が続くので、キャップは緩めておきます。
最大で1年は保存できるので、1年経ったら翌年のヨモギで新しい天恵緑汁を作りましょう。
天恵緑汁を絞った残りカスも使える
天恵緑汁からエキスを取ると、ヨモギの繊維が残ります。 この繊維は堆肥として使えるので、畑にまきましょう。
そのまままくだけではなく、生ごみたい肥と一緒にすることもできます。
ヨモギ以外の材料で天恵緑汁を作る方法
天恵緑汁はヨモギを使うのが一般的ですが、ヨモギ以外でも作ることは可能です。
例えば、以下のような材料が使えます。
これらの材料が天恵緑汁の原料として実績がある材料です。ほかにもあると思いますので、みなさんもいろいろな植物で試してみましょう。
雑草として厄介者のスギナを使うと、うどんこ病やべと病の予防や改善に効果があると言われています。
もっと簡単に天恵緑汁を作ってみた方法を紹介
基本的な作り方が面倒だと思った方向けに、私流のずぼらな作り方をお教えします。
重石がいらないので簡単にできます。
畑のヨモギを収穫
まずは材料となるヨモギを収穫します。
先端をちぎってペットボトルに入れる
収穫したヨモギの先端部分だけをちぎってペットボトルに入れます。
この時なるべく手で細かくした方が良いです。
写真の1Lペットボトルで約80g入っています。
ペットボトルに黒砂糖を入れる
ヨモギの重さを計ったら、その半分の量の黒砂糖をおペットボトルに入れます。
なお、写真の量で約20gだったので、今回はこれを2杯分入れました。
ヨモギと絡めるためにペットボトルを振るとよいでしょう。
10日くらいで完成!水で薄めて保管
10日くらいで完成です。
そのままでは天恵緑汁の原液がヨモギにこびりついているので、分けることができません。そこで、ペットボトルに水を入れて取り出します。
水を入れると写真のようになります。すぐに使わない場合はそのまま保管しておくと、その後も炭酸水のように泡が出続けています。
この状態で1ヶ月以上放置しても腐ることはありません。清涼感のある臭いがします。
ペットボトルの蓋を完全に締めた状態で保管していますが、定期的にガス抜きをすれば問題ありません。
さらに薄めて使用
この方法の弱点はどのくらいの濃度かわからないことです。
ただし、砂糖は完全に解けて無くなるので、砂糖の重さくらいの天恵緑汁は出来上がります。
今回は40gの砂糖を入れたので、40gの天恵緑汁ができたと仮定して、500倍に薄めるには20Lの水が必要です。
ペットボトルには1Lの水を入れたので、使用するときは20倍くらいに薄めて使います。
心配な場合は、少し水を多めに混ぜるとよいでしょう。
天恵緑汁を保存するときの注意点
天恵緑汁を保管する際には注意点があります。
天恵緑汁は微生物の働きで常に発酵しているので、密閉しないように少し口をあけるか、 蓋やキャップにガス抜きの穴をあけた状態で保管してください。
密閉すると発酵したガスの逃げ場がなくなり、破裂する危険性があります。
炭酸入りのペットボトルだと多少の膨張には耐えられるので、 定期的にガス抜きができるのであれば、炭酸入りペットボトルでも問題ありません。
まとめ
今回は、天恵緑汁の作り方、使い方について紹介してきました。
天恵緑汁は、ミネラルと微生物がたっぷりの植物活性剤です。 土壌改良や病害虫の予防もできるので、使い道は多そうです。
使うときは500倍に薄めて、植物に直接散布しましょう。 ぼかし肥料の発酵剤にもなります。
ヨモギがあれば簡単に作れるので、ぜひチャレンジしてみてください。
同じように自作できる活性剤に、マイエンザがあります。興味のあるかたは以下の記事をご覧ください。
なお、自作するのが面倒という方は、HB-101を使うのも手です。 天恵緑汁のように天然素材でできていて、以下のような効果があります。
プロも使う農業資材なので、試してみてはいかがでしょうか。