紫陽花の葉にカタツムリが乗っている写真やイラストをよく見かけますが、実際に紫陽花の葉にカタツムリが乗っているところって見たことありますか?
私はたまたまなのか見たことがありません。
調べてみると、紫陽花の葉には毒があるため、カタツムリはあまり乗らないという人もいます。
しかし紫陽花の葉にカタツムリが乗ってるのを見たという人もいます。
では実際のところはどうなのでしょう?
気になったので調べてみると意外な事がわかりました。
紫陽花の葉には、実は『毒』がある!?
紫陽花の葉には毒があるといわれていますが、実は毒があるかどうかはまだ完全には把握されておらず、一部毒がある個体も確認されているという事でした。
これまで報告されている毒成分は、「青酸配糖体」という植物由来の有毒成分と、「抗マラリア成分」、「嘔吐性アルカロイド」と言うことです。
「抗マラリア成分」や「嘔吐性アルカロイド」は、常山アジサイという山野草含に含まれていたとの報告がされています。
ただ、京都薬大の調査では、中国四川省産の紫陽花からは毒が検出されたが、京都産の紫陽花からは毒が検出されなかったと発表しています。
その結果品種や個体などによって毒の有無や成分、含有量などが違うのではないかと考えられています。
もし毒を含んだ紫陽花の葉っぱや茎、花を食べた場合の中毒症状は、嘔吐やけいれん、めまい、顔面が紅潮したり、歩行のふらつき、呼吸麻痺、昏睡などです。
死亡例は報告されていませんが、大人や子供が体調を崩した症例がいくつか報告されているので注意が必要です。
紫陽花にカタツムリがいる理由
カタツムリが特別あじさいを好んでそこにいるわけではなくて、カタツムリが活発に活動する時期が紫陽花のちょうど見ごろの時期と重なっただけという可能性はないでしょうか。
実は帝京科学大学で、カタツムリの嗜好性の調査をした文献があります。
中略~それでもアジサイの葉に対する嗜好性は他の植物の嗜好性に比べて特に高いわけではなく、アジサイの選択的な利用は、葉そのものに対する嗜好性によるものではない可能性が考えられる。アジサイの葉には青酸配糖体が含まれており、これは牛や豚などが摂取した場合に下痢や筋肉の引きつりなどの症状を引き起こす原因となる。したがって脊椎動物の植食物にとってはアジサイの葉は食物として不適であり、陸産貝類にとってアジサイは脊椎動物の植食者と競争しないで済む安定した食物資源と考えられ、そのことがミスジマイマイがアジサイを選好する理由のひとつかもしれない。
参考文献-梅雨の風物詩「カタツムリがアジサイに付いている」は本当か?陸産貝類による植物洗濯頻度と植物被度との比較 著:桜井雄太・森 貴久 帝京科学大学紀要
これを見る限りでは、好んで食べているというよりは、食料として競争相手がいないから紫陽花に付いていると考えられます。
この他にもカタツムリにとって紫陽花の葉は身を隠すのに都合が良く、雨・風を耐えるためにその大きい葉が役に立つことがあるのです。
カタツムリは、雨の日が多い梅雨の時期によく動き回り、じめじめした季節を好みますが、実は乾燥には弱いものの雨自体は苦手な生物なのです。
その理由は、カタツムリは肺呼吸をする生物で、ものすごく強い雨にさらされたり、誤って水たまりに落ちてしまうと、おぼれてしまうのです。
私たちにとって大雨だと感じる雨は、カタツムリにとっては滝つぼにでもいるような感じなのでしょうね。
だから、雨が降っているときは、基本的に下に降りて活発に動くということはあまりしないようです。
カタツムリが紫陽花にいる理由をまとめると
- 食料調達の競争相手がいないから
-
雨・風から身を守れるから
といったところでしょうか。
ただ好んで紫陽花というわけではないので、他にちょうどいい葉っぱがあればそちらに行く可能性が十分にあるということでしょう。
カタツムリは何を食べているの?
紫陽花に止まっているカタツムリは食料確保のためと上記では書きましたが、紫陽花の葉を食べるわけではありません。
種類にもよりますが、だいたいのカタツムリは植物の葉や茎、落ち葉、朽ち木などを食べています。
外来種のマイマイなどは肉食系のものもいるので、食の性質は幅広いです。
また殻を作るためにカルシウムが必要なので、石灰岩や貝殻も食べたりするそうです。
コンクリートを食べるとも言われているけど、立証されていません。でも食べていそうな感じはするよね。
また野菜も食べるため農家さんは注意が必要ですね。
余談ですが子供の頃にカタツムリを飼ってましたが、本当に何でも食べてました。
普通はキュウリやにんじんやキャベツと言った具合に野菜をあげていたんですが、ある日真っ白な糞をしたので不思議になり、あたりを調べたら新聞に入ってくる折り込みチラシの広告がありました、白い紙で余白があり真ん中に広告がのったやつです。
まさかと思いやってみたら食べる食べる、おまえはヤギか?と思ったものです。
カタツムリは梅雨以外の時なにしてる?
普段は殻に閉じこもり、岩の下など、比較的湿度が保てる場所に潜んで、湿気が多い春から秋にかけては日の当たらない葉の裏や土壌の中などに隠れて生活しています。
梅雨時は湿気が多く日があまり出てないので、人目に付くところまで出てきて食事や水分補給のために紫陽花の葉っぱなどの上にいたり、殻作りの石灰(カルシウム)を摂るためにコンクリートの壁?や貝殻のゴミ等にくっついていたりします。
他にも茎の根元や植木鉢の裏、ウッドデッキの隅などのやはり直射日光が当たらないところにいます。
人目につかない影に隠れて生活をしているわけで、パッと見では見つからないところに生息しているということになります。どうりで目に付かないはずですよね。
冬は栄養を蓄えて、殻の入口を粘液で固めた膜を張り、枯れ葉の隙間やブロックの裏なんかで冬眠してます。ちょっと驚きですね。
冬場にたまに見るカタツムリの殻ってありますよね。
あれは死んで殻だけ残っているのではなくて、実は冬眠中だっただけで生きているカタツムリの可能性もあるということです。
というわけで、カタツムリを見つけたい場合は、梅雨時期か春から秋の、雨が降ったタイミングで、湿った葉っぱの上か、湿ったコンクリートの壁を探すのが一番です。
カタツムリとナメクジの違い
カタツムリとナメクジは、どちらも陸生巻貝で、軟体動物腹足綱有肺類に属しています。
カタツムリとナメクジの見た目での違いは、殻が有るか無いかです。
カタツムリには殻があり、ナメクジには殻がありません。
カタツムリのうち、殻が退化した種類をナメクジと呼びます。
カタツムリは他の貝の空き殻に入って生活するヤドカリとは違って、生まれたときから殻があります。
カタツムリの殻の中には内臓も入っていて体の器官の一つなのです。
だからカタツムリ殻からを取ると死んでしまいます。
カタツムリの殻をとるとナメクジになるという考えは間違いです。
カタツムリの殻は、体からでた石灰分で作られていて、体にくっついているので、無理に体から引きはがそうとすると、死んでしまいます。
これは、アサリなどの貝のからを無理にこじ開けて、中の肉を引き出すと死んでしまうのと同じことです。
カタツムリは、ヤドカリのように別の貝のからを 背負っているわけではなく、生まれたときには、すでに殻があり、カタツムリの成長とともにからも大きくなります。
殻に傷がついたり、小さな穴があいても、2~3日で治ります。
ナメクジは、いくら育てても、ナメクジのままで、カタツムリのように殻はできるものではありません。
そこが、カタツムリとナメクジの最大のちがいです。
紫陽花にカタツムリって見た事ない!まとめ
今回調べてみて分かったのは、
- 紫陽花を好んでいるわけではない
- 競争相手がいないから紫陽花にいる
- 雨・風から身を守るために紫陽花にいる
- ナメクジと種類は同じで殻の有無の違い
紫陽花にいるイメージが私になかったのは、他に最適な葉っぱが別にあったからかもしれません。
ナメクジと同種であることは、見た目でも分かりましたが、ハッキリした違いが分かって良かったと思いました。
皆さんも気になった事は解決しましたか?
梅雨時期になったらカタツムリを探してみたくなりますね!