家庭菜園を始めると、必ず必要になるのが肥料をあげる施肥です。 適当に施肥をしていると、元気に野菜が育ってくれません。 そこで、肥料の知識が必要になるのですが、肥料は奥が深く初心者では難しいこともあります。
そこで今回は、初心者にもわかりやすいように、肥料の基本を紹介します。
肥料の成分
肥料には野菜を育てる栄養素が含まれています。 野菜を育てる3大栄養素は、窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)です。 その他に、カルシウムとマグネシウムを含むと5大栄養素になります。
葉には窒素(N)
窒素は植物を大きくするのに使用します。 特に葉に効くため葉肥(はごえ)とも呼ばれています。 葉の緑色を良くする作用もあります。
花・実にはリン酸(P)
開花を促進したり、実つきを良くするにはリン酸を使用します。 花肥(はなごえ)や実肥(みごえ)とも呼ばれています。 リン酸は過剰障害がないため、少し多めに与えても大丈夫です。
根にはカリウム(K)
元素名はカリウムですが、肥料の世界ではカリと呼びます。 主に根に効くので根肥(ねごえ)とも呼ばれています。 葉からの水分蒸発の調整にも関わっており、病気や寒さに対する抵抗力を付ける作用もあります。
カルシウム
細胞膜を丈夫にして病害虫を予防します。また、根の生育を促進します。
マグネシウム
マグネシウムは肥料の世界では苦土(くど)と呼びます。 光合成に必要な葉緑素を作る役割があります。また、リン酸の移動を助ける役割もあります。
肥料の与え方は2種類ある
肥料を与える方法としては、「元肥(もとごえ)」と「追肥(ついひ)」の2種類があります。
元肥(もとごえ)
畑を耕すときになど、野菜を植える前に与えるのが元肥です。 主に、窒素・リン酸・カリの3要素を含む肥料を撒きます。
野菜の最初から最後まで長期間効かせることを目的とするので、 効果が持続するものを使用します。 有機肥料と化成肥料を混ぜて使用することが多いです。
元肥は全面施肥や溝施肥などがあります。全面施肥や溝施肥については以下の記事をご覧ください。
追肥(ついひ)
植え付け後に時間が経つと元肥の効果が薄れてくるので、 追肥をして生長を促進します。追肥は即効性が求められるため、 化成肥料や液肥が使われます。
追肥は吸収しやすいように、根の先に施します。
肥料の種類
家庭菜園で使う肥料には大きく分けて、有機肥料と化成肥料の2種類があります。
有機肥料
油かす、魚粉、骨粉、発酵鶏ふん、草木灰などが有機肥料です。 有機肥料のほとんどが天然由来のものです。
基本的にはそのままでは植物に吸収されないため、即効性はありません。 分解されることにより、ゆっくり長く効くのが有機肥料です。 臭いがあるため、室内では使いづらいですが、有機野菜を作るなら必須となります。
油かすは種や花から油を搾り取った残りかすが原料です。 3要素をまんべんなく適量含んでいるので、元肥としてよく使われます。
魚粉は魚を乾燥させて粉末状に砕いたものです。 窒素とリン酸を含んでいることから、実を収穫する野菜におすすめです。
骨粉は動物の骨を砕いて粉末状にしたものです。 窒素、リン酸とカルシウムを多く含んでいます。魚粉と同様、実を収穫する野菜におすすめです。
発酵鶏ふんは3要素が豊富で、即効性のため化成肥料と同じように扱われます。 草木灰はカリウムが豊富です。
化成肥料
硫安・尿素、過リン酸石灰、硫酸カリウムなどもありますが、 初心者には3要素が適度に混ざっている化成肥料をおすすめします。 速効性があるものや、長く効くものなどさまざまな種類があります。 清潔で臭いもなく使いやすいので、室内でも使用可能です。
家庭菜園の施肥の基本
奪った分だけ返す
自然界では食物連鎖によって、植物と動物がバランスよく生存していました。 植物を収穫しても、糞尿で自然に返っていきます。 しかし、人間は自然から収穫したものを元に返しません。 なにもしないと土がどんどん痩せていってしまうので、肥料を上げて栄養分を返してあげます。
3要素のバランスが大事
窒素・リン酸・カリはどれかが不足しても植物が生長しません。 少ないものがあると、他の栄養素をそれ以上吸収してくれません。 また、どれかひとつだけが多くなってしまっても病気になってしまいます。
作物によって欲しい要素は違う
植物は、生育期間が長いほどたくさんの栄養が必要です。 二十日大根のようにすぐに収穫できる野菜より、 トマトやナスなどの方が多くの肥料が必要になります。
また、収穫する部位によっても必要な要素が変わります。 ほうれん草やレタス、キャベツのような葉物野菜は窒素を多く必要とします。 トマトやナスのように実を収穫する場合は、リン酸を多く必要とします。 窒素が多いとツルボケといって、葉ばかりが茂り、実がつかなくなってしまいます。
天候によって吸収量が違う
植物の主食はあくまで光合成です。肥料はおやつと考えましょう。 よって、天気が悪かったり、低温の時は活動が抑えられ、 光合成が少なくなり、肥料の吸収量も少なくなります。
必要な時に必要な分だけ
肥料が足りなくなると、野菜からのSOSが現れます。 そのSOSが、肥料不足なのか、肥料過多なのか、病気なのかを見極めることが重要です。
まとめ
今回は、堆肥の効果と種類と特徴と使い方と注意点について紹介してきました。
堆肥は、化成肥料と違って、土づくりの効果もあるため、積極的に使いたい資材です。 しかし、成分が安定していないのが欠点です。
初心者のうちは、化成肥料と併用して使うと良いでしょう。
堆肥にはたくさんの種類がありますが、始めのうちは牛ふん堆肥がおすすめです。 牛ふん堆肥で土づくりをしながら、化成肥料で栄養分を調整しましょう。