土づくりに欠かせない腐葉土ですが、毎年使うのに1袋500円以上もするし、 大量に使うので、結構痛い出費だと思ったことはありませんか?そんな人の中には、
- そもそも腐葉土って必要なの?
- 腐葉土ってどうやって使うのが正解?
- 腐葉土って作れないの?
と思っている人も多いと思います。
そこで本記事では、腐葉土の効果、使い方、作り方について紹介します。
- 腐葉土の必要性がわからない人
- 腐葉土の使い方がいまいちわからない人
- 腐葉土を自作したい人
腐葉土(落ち葉堆肥)とは
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腐葉土とは、落ち葉が微生物などによって分解されて土のようになったものです。腐葉土を堆肥にしたものなので落ち葉堆肥とも言います。
腐葉土は堆肥と違い栄養分がほとんどありません。 ではなぜ使うのかというと、土壌改良が目的です。 そしてその効果は1年程度のため、毎年土と混ぜる必要があります。
腐葉土の効果は使い方によっても変わってきます。 ここでは、腐葉土にはどのような土壌改良効果があるのか紹介します。
腐葉土(落ち葉堆肥)の効果
土がふかふかになる
植物が成長するには土に根を張る必要があります。 根を張るときに重要なのが、土のふかふかさです。 土がふかふかなことによって、根をスムーズに張ることができます。
しかし土は、人が踏み固められたり、雨によって固められてしまいます。 そこで、野菜を育てるときに土を耕すのですが、耕しただけでは、またすぐに固まってしまいます。 そこで、土に腐葉土を混ぜると土の中に程よいスペースができてふかふかの状態が長続きします。
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保水性と排水性が良くなる
植物が根から栄養を吸収するには、土に適度な水分と新鮮な空気が必要です。 土に腐葉土を混ぜることで、程よいスペースが生まれるため、 そこに適度な水分と新鮮な空気を溜め込んでくれます。
また、腐葉土を餌にする微生物が、土を団粒化してくれるため、通気性がアップします。
さらに、落ち葉はミミズが好んで食べてくれます。ミミズは土と落ち葉を一緒に食べており、排泄物に体内の粘液を付着させることで小さな団粒を作ります。
この団粒が畑にとってはとても良い働きをしてくれ、保水性と排水性を良くします。
保肥性が向上する
腐葉土を土に混ぜることで、土中の微生物が増えます。 その微生物が有機物を分解することで植物の養分となります。
落ち葉は繊維質が豊富で、多彩な養分を蓄えています。落ち葉の養分には野菜の生育に必要な、窒素・リン酸・カリウム・マグネシウム・カルシウムなどが含まれています。
また、腐葉土が養分を蓄えてくれるので、養分が雨などによって流れにくくなり、 そこに留まっている時間が長くなります。 このことを保肥性が向上するといっています。
保温効果がある
腐葉土は土の中に混ぜるだけではありません。 土の上にまくことによって、マルチ材としても利用できます。 保温効果の他に、雑草対策や泥はね防止による病気予防にも役立ちます。
微生物が豊富で病気予防
落ち葉は野積みにして水をかけておけば、菌糸の働きで数日中に発酵します。
そのため、落ち葉の表面にはさまざまな微生物が住み着いています。
腐葉土として使えば、土壌内で有用微生物を増殖させる働きがあるので、病原性微生物の増殖を抑える働きもあります。
その結果、野菜を病気から守ってくれるのです。
養分を調整してくれる
腐葉土には、肥料成分を蓄える働きと土壌の養分を調整する働きがあります。
野菜には肥料や養分を多く必要とするタイプと、少量でよいタイプなどさまざまです。
養分調整を人の手で管理することはとても大変な作業ですが、腐葉土は野菜の状況に応じて、必要なときに必要な量だけを放出してくれるので、とても優秀です。
腐葉土を畑にすき込むだけで、その大変な作業を人の代わりに行ってくれます。
こんなにすばらしい働きがあるのだから、腐葉土を使わない手はないでしょう。
腐葉土(落ち葉堆肥)の作り方
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腐葉土は購入することができますが、1袋500円以上かかります。畑ではたくさん必要になるため、それなりの出費が必要です。
そこで、腐葉土の作り方について紹介します。腐葉土の作り方は、道具さえ揃えてしまえば、それほど難しいものではありません。1年間ほったらかしておけば、初心者でも作ることができます。
落ち葉集め
腐葉土を作りには、はじめに落ち葉集めを行います。
落ち葉や山の他に、近くの公園や街路樹からも集められます。落ち葉を集める際は立ち入ってもよいか管理業者に確認しましょう。
落ち葉を集める時期は11月~1月上旬です。
濡れた落ち葉集めは大変ですので、晴れた日のほうが適しています。しかし雨が降った翌日に集めると落ち葉を濡らす手間が省けるので、体力に自信のある方にはおすすめです。
20リットルの土のう袋を15枚ほど用意して、集めた落ち葉をこれ以上はいらない所まで詰め込みます。
詰め込むときには、ゴミと太い枝、イチョウや針葉樹の葉は入れないようにしましょう。
ゴミは自然分解されないですし、太い枝は分解に時間がかかるためです。
また、イチョウや針葉樹の葉も、発酵に時間がかかるので避けましょう。
土嚢袋を使って腐葉土を作る方法
腐葉土を仕込む手順
- 落ち葉 1袋分(20リットルの土のう袋にいっぱい詰めたもの)
- 米ぬか 100g
- 油かす 100g
- 畑の土 1~2リットル
- 水(雨水や井戸水などの塩素が含まれていない水だとなお良い)
土嚢袋を使って大量に腐葉土を作る方法は、以下の通りです。
- 土のう袋の底に畑の土を5㎝ほど入れる
- その上に落ち葉を(4分の1)入れ、手で押さえるか足で踏んで圧縮する(落ち葉の層の目安:押さえつけた状態で10㎝)
- ジョウロで水をたっぷりかける(水分量の目安:落ち葉を握って水気を感じる程度)
- 米ぬかと油かすを事前に混ぜておき、ひと握り分を落ち葉の上にまんべんなく振りかける
- 米ぬかと油かすの上に土をかぶせる
- 1~5を3回繰り返して、(土・落ち葉・米ぬか油かす)を1層として計4層にする
- 最後に土をかぶせて蓋にして、袋の紐をしめて仕込みは完了
米ぬかと油かすは微生物のエサとなり、落ち葉の発酵を促進する働きがあります。
仕込みのコツは、以下の2点です。
- たっぷりの水をかけて、落ち葉に水分を含ませること
- しっかり圧縮して空気を抜くこと
余計な水は土のう袋の網目から出ていくので、水はたっぷりと入れましょう。
落ち葉の空気が抜けていないと、乾燥してうまく発酵しないので、圧縮することも重要です。
腐葉土の保管場所
仕込み終わった土のう袋は畑の隅や空いている場所に放置するだけですが、雨に当たらない場所で保管しましょう。
発酵するときに熱をもちますが、発酵にはこの熱が必要不可欠です。
せっかく微生物が頑張って熱をもったのに、雨に濡れると冷却されて微生物の活動が鈍ります。
ビニールなどをかぶせて雨をしのげば、寒い時期でも約3週間程度で熱をもつでしょう。
切り返し(袋の詰め替え)作業を行う
仕込みから約1カ月が経過した頃に、「切り返し」作業を行います。「切り返し」とは、袋内を入れ替えることです。
このときに重要なことは、以下の2点です。
- 落ち葉の水分補充
- 一度、空気を入れ替える
この2点を行うことで、発酵を促進させます。
それでは、簡単な切り返し手順を紹介します。
- 使っていない土のう袋1枚を用意する
- 使っていない土のう袋に入れ替える
- 入れ替える時に水をたっぷりとかける
仕込みの時は4層にしましたが、切り返しの時は層を意識しなくても大丈夫です。
切り返し作業は「撹拌(かくはん)」も兼ねています。空気の入れ替えと乾燥している落ち葉に水分を補充してやることで、再度発酵が促進されます。
切り返し作業は3週間おきに3カ月間行います。
はじめは袋にいっぱいだった落ち葉も、4月頃になれば発酵が進んで3分の2程度にまで体積が減少しているでしょう。
少量作るのに向いている簡単な作り方
- 10から20リットル程度のビニール袋(発酵温度を上げるため、黒か透明がおすすめ)
- ビニール袋に入るくらいの落ち葉
- 水(雨水や井戸水などの塩素が含まれていない水だとなお良い)
- 生の米ぬか(なければ油カスや生ごみでも可)
少量の腐葉土を作る場合の手順は以下の通りです。
- 落ち葉をたっぷりの水で湿らせます。
- 米ぬかを2つかみ程度ふりかけて良く混ぜます。
- ビニール袋に落ち葉を入れギュウギュウに詰め込みます。
- ビニール袋の口を緩めに縛った後、空気穴を数カ所適当に開けます。
- ビニールを日当たりの良い場所に置きます。
- 1ヶ月に1回ビニール袋を揉み込んでみて乾燥しているようなら水を足します。完成まで繰り返します。
手抜き腐葉土の作り方
腐葉土を作るのがめんどくさいという方は、以下の方法を試してみるとよいでしょう。
- スコップ
- 大量の落ち葉(多ければ多いほど成功しやすい)
- 水(雨水や井戸水などの塩素が含まれていない水だとなお良い)
- 生の米ぬか(なければ油カスや生ごみでも可)
- 黒っぽい土(畑の土か黒土)
手抜き腐葉土の作り方は以下の通りです。
- 風通しが良く、水はけが良い場所を見つけます。
- その場所に深さ20cmくらいの穴を掘ります。広さは用意した落ち葉の4分の1が埋まるくらいの広さにします。
- 掘った時の土は保管しておいてください。
- 掘った穴に落ち葉を4分の1入れます。
- 米ぬかを薄くまき、全体に水をかけてよく馴染ませます。
- 足で踏み固めて圧縮します。
- 4~6を4回繰り返して、落ち葉と米ぬかの層を作ります。高さ40cmから90cmが目安です。
- 3で保管しておいた土を被せて、落ち葉を隠します。
- 雨よけにブルーシートをかけても良いです。
- この日の作業は終了です。
- 月に1回程度、全体をかき混ぜます。完成まで繰り返します。
畝の間に埋めるか堆肥マルチとして利用し熟成
4月ごろになると春夏野菜の栽培が始まります。
それに伴って畑を耕しますが、この時点で、腐葉土の体積は減ったとはいっても堆肥として使える状態ではありません。焦って使わないようにしましょう。
しかし、春夏野菜を植える時期がくると、土嚢袋が場所をとって邪魔になります。
そこで、2つの利用方法を紹介します。
畝の間に埋める方法
大量にある場合は畝の間(通路)に埋めてしまうのがおすすめです。畝を作った時に、畝の間を地面から「深さ40㎝✕幅30㎝」に掘ります。
その溝に土のう袋から腐葉土を取り出して、敷き詰めます。
目安は、ひとつの畝間に土のう袋3袋分です。
腐葉土を敷き詰めたら、その上に土をかぶせてあとは仕上がりを待つだけです。
畝の間に埋めるメリット
畝の間は通路として使われることが多いので、どうしても土が固くなります。
畝の間に落ち葉堆肥を埋めておけば、いくら踏みつけても固くならないですし、通気性や保水性を高めてくれるので保存場所としては最適です。
ただし、注意点があります。それは、「生の落ち葉をそのまま埋めない」ことです。
生の落ち葉は発酵する際に「ガス」が発生し、野菜の根に害を及ぼします。
失敗しないためにも、落ち葉は土のう袋などに入れて、約3カ月ほど発酵させてガス抜きをしておく必要があります。
堆肥マルチとして利用
腐葉土が少量の場合や、畝の間に埋める際に少量残した場合、畝表面に堆肥マルチとして活用するのがおすすめです。
どうなったら完成?
発酵がある程度進むと、色が黒くなります。 小枝を折ってみて中まで黒くなっていれば使用可能です。
さらに発酵が進むと葉が分解されて小さくなり、どんどん発酵が進むと土のように細かくなります。
葉の形が多少残っている方が、土中に隙間が出来やすいので土壌改良の効果を発揮します。
しかし、この状態で使ってしまうと、ダイコンやニンジンの股根を起こす原因になります。
また、土のようになってから使用したほうが土に馴染みやすく、野菜の生育のためには良いです。
土のようにするためには9月ごろに米ぬかを使って発酵を促進させます。 1平米に対して米ぬか半握りをまき、畝間をスコップなどで掘り返して混ぜましょう。
土ができあがっていない時は形が残っている状態、土ができあがってきたら土に近い状態で使うようにしましょう。
腐葉土(落ち葉堆肥)の作り方のポイント
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作り方のポイントは水分と空気と温度です。 温度が高い方が発酵しやすく、早く良い腐葉土を作れます。
しかし、温度を管理するのは初心者には不可能といっていいでしょう。 そこで、今回は、温度を気にしない方法を紹介しました。
温度が低くても、適度な水分と十分な空気があれば、失敗することはありません。 定期的に腐葉土をかき混ぜて空気を行き渡らせましょう。
腐葉土を作ったら白カビが生えた
腐葉土に付いている白カビは、糸状菌といって発酵に欠かせないものです。 糸状菌は人体にもペットにも無害なので、安心してください。
ただしこの状態で、大量に土の中に入れてしまうと、野菜が病気になってしまう場合があります。 もう少し発酵させましょう。
発酵が進むと糸状菌は徐々に減っていき、放線菌が増えてきます。 放線菌は空気が好きなので、腐葉土をかき混ぜてください。 発酵が成功すれば森のような匂い、失敗すればドブのような匂いになります。 失敗しても、土に埋めておけばそのうち土に還るので心配しないでください。
腐葉土(落ち葉堆肥)に向いている葉、向いていない葉
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落ち葉の中には、腐葉土に向いている落ち葉と、向いていない落ち葉があります。
腐葉土作りに向いている葉
クヌギ、ナラ、けやき、などの広葉樹
腐葉土作りに向いていない葉
分解に時間がかかる杉、松、檜などの針葉樹とイチョウなどの広葉樹 成長阻害物質「クマリン」が含まれているサクラ
雑草で腐葉土は作れる?
雑草でも腐葉土は作れますが、時間がかかります。 また、発酵が中途半端で雑草が生きていると、すき込んだ場所から雑草が生えてきてしまいます。 しっかり発酵を終わらせることが重要です。
腐葉土(落ち葉堆肥)の使い方
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石灰資材は適量に施すことが重要です。そこで、石灰資材を使うときのコツを紹介します。
プランター用土
ホームセンターなどに売っている培養土であれば、 すでに腐葉土が入っているため、そのまま使うことができます。 しかし、1年程度で腐葉土が分解されてしまうので、 2年目以降は腐葉土の追加が必要です。 土の約2?3割の腐葉土を混ぜ込みます。
赤玉土などの基本用土を使用する場合は、腐葉土を3?4割混ぜ合わせます。
畑の場合
育てる植物によって多少異なりますが、1m2に対して3kgくらいの腐葉土を混ぜ込みます。 土の2?3割程度です。 畑にして数年のまだ痩せている畑の場合は、 これよりも多めに混ぜたほうが良いです。
マルチとして使う場合
植物の株元に5?10cmの厚さで腐葉土をまきます。 マルチとして使う場合は、土と混ぜる必要はありません。 マルチとしての役目が終わったときに土にすき込みましょう。
発熱を利用する
少し上級の使い方になりますが、腐葉土を作るときに湯気が出るくらいの熱が発生します。 その熱を使って、寒い時期の育苗を行うことができます。 たくさんの腐葉土を作るようになったら、育苗部屋を作るのも良いでしょう。
腐葉土を使う場合の注意点
しっかり発酵したものを適量使うようにします。 腐葉土を大量に入れてしまうとそれを分解するために糸状菌やセンチュウ、ネキリムシなどが大量発生して、野菜の生育に悪影響が出ます。 また、土がスカスカになり苗が倒れやすかったり、水はけが良すぎて枯れてしまうことが起きがちです。 土の3割くらいまでにとどめておく方が良いでしょう。
まとめ
今回は、腐葉土について紹介してきました。
腐葉土は、土をふかふかにし、排水性、保水性を向上させるのに欠かせない資材です。 また、保温効果もあるので、マルチなどとしても使えます。
落ち葉があれば自作もできるのでぜひチャレンジしてみてください。
腐葉土には栄養分がないので、同時に生ごみ堆肥も作るのがおすすめです。