「高温多湿を避けて保存してください」。
これは、食品のラベルなどによくある記載です。
でも、この「高温多湿」という言葉、なんだか曖昧だと思いませんか?
何度、どれくらいの湿度でどこに置いて保存すべきなのか。
この高温多湿という言葉だけでは、具体的にどうするべきかがわかりません。
私はこの記載がある食品の場合、いつもどこに置こうかと考えてしまいます。
皆さんのなかにも、同じように高温多湿の意味がわからない方もきっといますよね。
そこで、高温多湿とはどんな状態なのかという点を中心に調べてみました。
そもそも高温多湿とはどんな状態?
高温多湿とはどんな状態なのでしょうか?
この状態を知ってもらうため、ここでは次の2点を説明していきます。
- 高温多湿の定義
- 私の考えた高温多湿とは
1・高温多湿の定義
調べたところ、高温多湿には明確な定義はありませんでした。
例えば、厚生労働省の「常温保存可能品に関する運用上の注意」では、「常温とは外気温を超えない温度」とされています。
常温以上が高温になるため、この場合は外気温を超えると高温だと考えられます。
日本の産業製品の規格であるJIS規格では常温=5℃~35℃。
この基準だと高温=36℃以上になります。
でも、高温=外気温を超える温度ではわかりにくく、36℃以上だとかなり暑いため密封されている食品でもきちんと保存できるか心配ですよね。
そこで、私は自分なりに資料を探し、高温多湿がどんな状態なのか考えてみました。
それが次の「私の考えた高温多湿とは」です。
2・私の考えた高温多湿とは
私が資料から導き出した高温多湿は、下記のようになります。
- 高温状態とは、28度以上が目安
- 多湿状態とは、湿度60%以上が目安
つまり、「高温多湿を避けて保存」は、27℃以下、湿度59%以下の状態なら避ける必要がなく、そのまま食品を置いておいてもよいということになります。
ただし、これはあくまで私が調べ、考えた数字。あくまで目安としてくださいね。
続いて、どうやってこの答えに至ったのかを説明します。
【高温】
高温については、下記の2点を参考にしました。
- 消費期限などを決める食品保存検査は、一般的に常温を25℃としていることが多い。
- 食品を腐敗させる微生物の増殖が活発になるのは30℃前後とされている。
この2点から考えたのは、25℃から30℃までが食べ物の保存がギリギリ可能な温度だということ。
そして、25℃~30℃の平均値は27.5℃なので28℃以上が高温だと導きだしました。
【多湿】
多湿については次の2点を参考に、湿度60%以上だと考えました。
- カビが活動しはじめるのは湿度60%以上から。
- 多くの食品メーカーの工場では、湿度を60%で保つようにしている。
以上が、私の考えた高温多湿状態とその説明です。
ただし、食品によっては明確に高温多湿の基準が示されている場合もあります。
また、密封の状態や食品の水分量によっても高温多湿の条件が変わる場合もあります。
高温多湿を避ける必要がある食品は、まず食品メーカーのホームページなどで明確な基準が示されているか確認しましょう。
示されていない場合は上記の温度と湿度を参考にし、より安心して保管したい場合は食品保存試験の常温の基準25℃以上を高温だと考えてもいいでしょう。
高温多湿を避けて保存するならどこがおすすめ?
高温多湿を避ける保存場所とは、風通しがよく直射日光が当たらない場所のこと。
風が通らないと温度も湿度も上がってしまいますし、直射日光が当たる場所は他の場所よりも温度が高くなります。
高温多湿を避けることができるおすすめの場所は、下記の場所です。
- 扉付きのキッチンの収納棚
- キッチンのコンロ下の収納
- ストックルーム
- 北側の部屋(日が当たらない部屋)
扉付きの収納棚やコンロ下の収納、ストックルームは風通しが悪く感じますが、開け閉めすることが多いので風通しは問題ありません。
扉やドアで直射日光が遮られるのも良い点です。
ただし、ストックルームに窓があり棚に直接日光が当たる場合は、日差しを遮る工夫をしましょう。
また、コンロ下と同じキッチン収納でもシンク下の収納は湿気がやや多いので避けるのが無難です。
家の北側の部屋は基本的に日が当たりにくい場所で、食品の保存に向いています。
しかし、あまり人が出入りせず蒸し暑くなる部屋の場合は、食品を置かないほうがよいでしょう。
冷蔵庫に入れるとまずいの?
高温多湿を避けて保存するように記載されている食品は、冷蔵庫に入れる必要はありません。
それは「高温多湿を避けて」と食品メーカーが記載している理由が、冷蔵庫に入れると風味が落ちるものや冷蔵保存に向かないものだからです。
冷蔵庫に入れて保存すべきものにはラベルなどに「冷蔵庫で保存してください」などと記載があります。
ただし、これは開封前の話です。
開封した後は、「開封後は冷蔵庫で保存」などと開封後の保存方法がラベルなどに記載してあるか確認し、記載に従って保存してください。
また、梅雨時や夏場は、家の中がかなり蒸し暑くなることもあります。
特にクーラーを消して外出する時などは、室温の上昇が食品に影響するか心配になる方もいるでしょう。
このような時は、開封前のものでも冷蔵庫に入れて保存するのもありだと私は思います。
冷蔵することで品質が損なわれしまう可能性もありますが、食品が傷むよりいいと私は考えています。
なお、一度冷蔵庫に入れた食品を再度外に出して保存すると結露などで食品が傷む原因となります。
冷蔵庫に入れた場合は、食べきるまで冷蔵庫で保存するようにしましょう。
開封後は密閉するとまずいの?
これは、「開封後に冷蔵庫保存」とラベルなどに記載されている場合も同じです。
高温多湿を避ける食品は、開封後に密封保存するのが基本。
密封しないとダニがついたり、風味を損ねたりする原因となってしまいます。
高温多湿を避けるよう記載がある時、避けなくてはいけないのは密封された風通しの悪い空間だけ。密封保存ではありません。
保存方法としては、袋タイプのものはクリップや輪ゴムで軽く止めるだけではNG。
これだけでは、ダニを防げません。タッパーなど密封できる容器に入れて保存するのがおすすめです。
また、袋タイプの食品はチャックが付いていても、チャックを閉めて袋のままタッパーに入れて密封するのがおすすめです。
蓋つきの食品の場合は、蓋をしっかり閉じて保存すれば問題ないでしょう。
まとめ
「高温多湿を避けて保存してください」という食品のラベルなどの記載には、明確な基準がないことがわかりました。
でも、調べてみた結果、食品が腐敗する温度などから高温=28℃以上、食品メーカーの工場の湿度などから多湿=湿度60%以上だと考えられます。
基準がないためあくまで目安ですが、この温度と湿度はあなたが高温多湿を避ける食品を保存する時に役立てていただけるのではないでしょうか?
食品の保存方法に迷った時には、この記事を参考にしてくださいね。