土壌診断したけど、 どうやって改善して良いかわからないと悩んでいませんか?
土壌診断では、固さ、土質、酸度、栄養状態などの調べ方を紹介しました。 しかし、今の状態がわかっただけではおいしい野菜は作れません。
土壌診断はあくまでも、おいしい野菜を作る第一歩。 その土の欠点を克服して始めて、おいしい野菜が作れます。
そこで今回は、土壌改良の方法を3つ紹介します。
- おいしい野菜を作りたい
- 何を育てても上手くいかない
- 畑を耕すのが大変
土壌改良剤を使って土壌改良する

酸度調整に土壌改良剤を使う
土壌診断で酸度を確認して、酸性またはアルカリ性になっている場合は、 土壌改良剤で中性に近づける必要があります。
酸性に傾いていた場合
酸性に傾いていた場合は、石灰資材を使って中性に近づけます。
石灰資材には、以下のような種類があります。
- 生石灰
- 消石灰
- 炭酸カルシウム
- 苦土石灰
- 貝化石
- カキガラ
石灰資材については、以下の記事をご覧ください。
アルカリ性に傾いていた場合
雨が多い日本では、基本的に酸性に傾くことが多いですが、以下のような場合、アルカリ性になることがあります。
- ビニールハウスなどで石灰の流亡がない
- 石灰資材の与えすぎ
- コンクリートやビルから石灰分が流入
アルカリ土壌になると、カルシウムやマグネシウムの塩類が過剰になります。 また、土壌の保肥力が限界を迎え、ちょっとの施肥量で肥焼けやガス障害が発生します。 さらに、鉄やマンガンといった微量要素を吸収できなくなります。
そのため、中性に近づけてあげましょう。
中性に近づけるには、以下のような方法があります。
- ホウレンソウなどアルカリ性を好む植物を育て、吸収させる
- 硫安・硫加・塩加・塩安などの生理的酸性肥料を使う
- アルカリ強制剤を投入する
火山灰土壌の土壌改良
酸性土壌では、アルミナが溶けて活性化し、リン酸を吸着するので、リン酸欠乏症が発生しがちです。 そしてアルミナが多く含まれているのが、火山灰土壌です。
そのため、火山灰土壌ではリン酸欠乏症になりがちです。
そんな火山灰土壌に最適な肥料がヨウリンです。
ヨウリンは、じっくり効くリン酸肥料で、アルカリ成分が含まれるため、酸性も矯正してくれるので、 アルミナの活性化を防げます。
5年に1回、1平米あたり200~300g施すと良いでしょう。 アルミナにリン酸を吸着させておけば、それ以上は吸収しなくなります。
砂質土壌を改良

砂質土壌は、保肥力と保水力がないため、肥料が流出しやすいのが欠点です。 そのため、保肥力と保水力が高いゼオライトやバーミキュライトを混ぜ込みましょう。
ゼオライトなら1平米あたり0.5~1L、バーミキュライトは1~2Lが目安です。
全面的に施しても良いのですが、高価なため、畝にだけ施しても良いでしょう。
粘土質土壌の改良
粘土質土壌は水はけと通気性が悪いのが欠点です。 そのため、堆肥やパーライトを混ぜて、空間を作ってあげましょう。
植物性堆肥なら土の3~4割ほど混ぜても問題ありません。 堆肥は分解されて無くなってしまうので、毎年施す必要があります。
パーライトなら、1平米あたり5L程度混ぜ込みましょう。 パーライトは鉱物なので、長持ちします。
有用微生物を増やす
土づくりには、有用微生物も重要です。 微生物は堆肥などを分解し植物が吸収できる形に変化させたり、団粒構造を作る役割があります。
有用微生物には以下のような種類があります。
- アンモニアを硝酸に変える硝化菌
- 土の中で光合成をして、根に糖を供給する光合成細菌
- 根と共生して根にリン酸を供給する菌根菌
- 空気中の窒素を固定し根に供給する根粒菌
- その他の有用な菌
有用な菌が多いと、悪い菌が入る隙間がないので、病気にもかかりにくくなります。
有用な菌を増やすには、餌となる堆肥を投入することが一番です。 また、酸性や通気性を改良して有用微生物の住みやすい環境を作ることが大切です。 そのため、モミガラくん炭などの炭も混ぜ込むと良いでしょう。
微生物を増やすには、天恵緑汁やマイエンザも有効です。 天恵緑汁やマイエンザは、その土地の土着菌を増やした酵素液なので、土壌に是依存している土着菌となじみやすいのが特徴です。
土着菌以外の菌を入れると、菌同士がケンカをして、有用な菌が増えにくい可能性があります。
緑肥作物を利用して土壌改良する

イネ科とマメ科を育てると土壌改良になる
土壌改良効果がある作物として、イネ科とマメ科の植物があります。
土をふかふかにする
土がカチカチで通気性も排水性も悪い畑は、イネ科やマメ科の植物を育てると土がふかふかになります。
イネ科の作物は、地表近くにひげ根をいっぱい生やすので、土が自然と耕された状態になります。 マメ科の植物は、イネ科と違い、深くまで太い根をはります。
土の栄養素を増やす
土壌診断でやせた土地と判断され、肥沃にしたい場合には、 マメ科の植物を育てると良いでしょう。マメ科の植物は空気中の窒素成分を地中に閉じ込めてくれるので、 土中の栄養素を増やしてくれるからです。
緑肥作物を使うと良い
イネ科やマメ科の植物ならある程度の効果があります。 そのため、トウモロコシや大豆でも良いのですが、緑肥作物を利用すると効果的です。
緑肥作物として、マメ科ならヘアリーベッチやクリムゾンクローバー、イネ科ならエンバクやソルゴーなどが有名です。
緑肥作物を使うメリット

緑肥作物(りょくひさくもつ)の種は安価なため、畑全体にまくことができます。 そして、手間をかけなくても良くそだちます。
そのため、緑肥作物を育てることで、畑全体に大量の有機物を簡単に供給できるようになります。 また、緑肥作物は草マルチとしても利用できます。
緑肥作物も季節に注意
緑肥作物は簡単に育てることができますが、育てる季節だけは守りましょう。
涼しくなったら種をまき、翌年の初夏に刈るマメ科の植物としては、以下のような植物があります。
- 赤クローバー
- クリムソンクローバー
- ヘアリーベッチ
- レンゲ
また、同時期に育てられるイネ科の植物には以下のようなものがあります。
- エンバク
- ライムギ
- コムギ
- イタリアンライグラス
- ペレニアルライグラス
緑肥作物は作物を育てない秋から春の休耕期に育てると効率的ですが、 作物を育てていない新しい畑であれば、夏に育てても良いでしょう。
夏に育てられるマメ科とイネ科の緑肥作物は以下の通りです。
- クロタラリア
- セスバニア
- ギニアグラス
- ネピアグラス
- スーダングラス
- ソルゴー
- ローズグラス
土壌作物を引っ越して土壌改良する

やせた土地を肥沃にするとっておきの方法があります。 それは、土壌生物がたくさんいそうな肥沃な土を自分の畑に移植する方法です。
土をもらう場所
他人の土地から勝手に持ってくると罰せられる可能性があるので、 しっかりとお願いしてもらってきましょう。
土をもらうなら、有機栽培を行っている畑や、自然の野山が最適です。
土の採取方法
土をもらうときは、なるべく土の塊を崩さずにもらうのがポイントです。
お菓子などが入っていた空き缶を反対にして埋めると、そのままの状態で、缶に詰められます。 シャベルやスコップで掘る場合も、なるべく塊を崩さないようにしましょう。
土の持ち帰り方
土の中にいる微生物は紫外線に弱いので、蓋をするか、段ボールの中に入れて持ち帰りましょう。
土の移植方法
持ち帰った土は速やかに畑に移植します。
持ってきた土の塊よりやや大き目の穴を掘り、その穴の中にそっと土の塊を置きます。 このとき、塊が崩れないように注意しましょう。
その後、掘った穴と持ってきた土の間に隙間ができないように、土を入れます。
50m2程度であれば、半年もすれば土壌生物がいきわたります。 効果を早めるには、畑に数か所埋めると良いでしょう。
まとめ
今回は、土壌改良の方法を3つ紹介してきました。
土壌改良剤を使う方法は、資材を購入すれば誰でも実行できるので、 簡単で、速効性もあります。
緑肥作物を利用する方法は、半年以上の時間がかかりますが、 手間とお金がかからないのが魅力です。
土壌生物を引っ越す方法は、土をもらえないと実行できませんが、 土がもらえる環境なら、素早く豊かな土に変化させられます。
それぞれ特徴があるので、自分に合った方法を試してみましょう。