企業では年1回の「健康診断」があると思います。
その度に健康について考えさせられることも多いのではないでしょうか?
30代も過ぎると健康について意識するようになってきて、
「人間ドック」も時々話題に上がる様になります。
“この前、健康診断受けたけど、人間ドックって何が違うのだろう?”
“人間ドックっていくら位するんだろう?”
“そもそもドックってどんな意味なんだ?”
そんな疑問や興味をお持ちの方へ向けて、今回は人間ドックについてご紹介したいと思います。
人間ドックのドックとは?
人間ドックとは、普段気づきにくい疾患や臓器の異常を検査するものです。
ドックは英語で「dock」と表記します。
犬の「dog」とは違います。
dockは日本語では「船渠(せんきょ)」といい、
意味は船の製造、点検、修理、荷役作業などに用いられる施設です(Weblia英和辞書より)
つまり、人間ドックとは、人間の点検を行うこと指している言葉なのです。
人間ドックと健康診断の違い
人間ドックと(法定)健康診断の違いは、「義務か義務じゃないか」と「検査項目」です。
健康診断は、全身の健康状態を検査することが目的で行われます。
健康診断には種類があり、義務と任意の2種類があります。
労働安全衛生法で義務付けられた「法定検診」と、
個人が自分の意思で受ける「任意検診」に分けられます。
法定健康診断は義務です。
ですから、会社は毎年従業員に法定健康診断を受けさせなくてはなりません。
これが「法定定期健康診断」で、よく話題に上る「健康診断」です。
先ほどの通り、健康診断は義務で、法律で決まっています。
実施される項目についても、法律で決まっています。
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査(※)及び喀痰検査(※)
- 血圧の測定・貧血検査(※)
- 肝機能検査(※)
- 血中脂質検査(※)
- 血糖検査(※)
- 尿検査・心電図検査(※)
上記の項目が規定の項目になります。
ただし(※)の項目は医師の判断により、それぞれの条件に当てはまれば省略できます。
これらを絶対に受けなければいけないだけで、会社や施設によってはオプションをつけることもできます。
女性特有の病気なども、オプションで実施してくれる所もあります。
一方、人間ドックに法的義務はなく、受けるか受けないかは任意です。
つまり、個人で受ける任意検診の一種になります。
人間ドックは任意ですので、
厳密にこの項目を検査しなければいけないと決まっていませんが、
健康診断より広い範囲を検査することがほとんどです。
法定健康診断の項目が10個なのに比べて、
人間ドックでは40から100以上の項目を調べることもあります。
健康診断だけでは見つけることのできない病気を発見することができます。
具体的には、下記のような項目を検査することができます。
- 胃・腸などの消化管の内視鏡検査
- 肺活量の検査
- 便潜血検査
- 肺CT・脳MRI 等
胃や腸の様子を確認するために消化管の内視鏡検査や、
呼吸機能を検査するための肺活量の検査、腸の出血を調べる便潜血検査、
肺のCTや脳のMRIが実施されることもあります。
項目は決まっていないので、オプションをつけて
婦人科検診(子宮頸がん検診や乳がんのマンモグラフィー)を追加することもできます。
検査項目がザックリだけど4倍以上も増えるんだね!
人間ドックの相場
受けてみたいけど踏み切れない方のほとんどは、金額の部分が気になるからではないでしょうか?
人間ドックの相場はピンキリで、日帰りで安価で気軽にできるところから、
専用の宿泊施設を持ち、検査後には高級フレンチランチがついてくるものまで、
検査項目の多さなどで多種多様なコースが用意されています。
日帰りで基本的な検査項目のプランでは3~4万円でうけることができます。
その場合は、法定の健康診断に加えて
眼科検診、呼吸機能検査、上部消化管エックス線検査、
腹部超音波検査、便潜血検査、内科検診などがついています。
高級なプランはあくまで1例ですが、
特別な空間とホスピタリティで検査をできる施設では、
一泊二日の個室VIPコースで、26万円というものもありました。
こちらは、上記の基本的なコースに加えて、
がんの腫瘍マーカー検査、胃潰瘍や胃がんの原因となるピロリ菌の検査、
メンタルヘルス、乳がんの検査のマンモグラフィー、
骨粗鬆症の検査、運動指導、栄養指導など29項目がありました。
ここまでしなくとも、脳腫瘍や脳梗塞などを見つけやすい脳ドックで4万程。
がんを発見しやすいいPET/CTコースで10万程。
この様に発見したいものに重点を置く検査もあります。
これらの他にも、気になる項目を1項目単位で追加できる施設もあります。
自分の気になる所を上手く組み合わせて、検査項目を決めるのがいいでしょう。
人間ドックは何歳から受けるべき?
私の意見ですが、30歳を過ぎたら受けた方がいいと思います。
若い気持ちでいても、なにかしらの不調が出てくるのが30代です。
健康は何ものにも代えがたいと言われますので、30代と言わず、気になったら受けることおすすめします。
しかし、現実問題として3万円だと頻回に気軽に払える金額ではありません。
会社によっては人間ドックの費用を福利厚生の一環として、一部負担してくれる企業もあるようですが、それでも負担があるので、できる限り少なくしたいですよね。
なので下記の様なリスクが高い方は、30歳を過ぎたら人間ドックを受けた方がいいと思います。
特別気になる症状や体質がなく、毎年法定健康診断を受けていて、結果に問題がなく、自治体が推奨するがん検診を受けている方は30歳までは必要ないのではないかと個人的には思います。
自治体のがん検診は、受けている人が意外と少ないんだよね。
その後は40歳になるまでは5年に1回程度は受けたいですね。
その一方で、専業主婦(夫)の方など、法定検診を受けていない場合は、まず、任意の健康診断を受けることをおすすめします。
法定項目は1万円前後でうけることができます。
逆に、40代を超えた場合は、検査項目の追加も検討しながらしっかりと受けてほしいです。
人間ドックのドックってどういう意味?まとめ
巷では人間ドックは必要ないとか、検査を受けるから病気になると言う方もいます。
しかし病気になってからでは遅いというのが私の意見です。
私は先日友人と3人で人間ドックを受けてきましたが、全員再検査で引っ掛かりました。
その中の一人のお話を紹介します。
私の友人(31歳)は毎年法定検診を受けていましたが、先日受けた人間ドックで病気が見つかり手術をしました。
でも幸いなことにかなりの早期で見つかったため、入院期間も短く、もちろん入院費も安く、1週間ほどで職場に戻ってきました。
その病気はあと2・3年放っておいたら、1か月は職場へ復帰できなかった言われました。
その後も生活への制約がかかる可能性もありました。
人間ドックで異常を指摘されたことで、放置することなく早期発見・早期治療をすることができました。
私の叔父は、人間ドックを2年に1回定期的に受けていて、75歳まで元気で生活しています。
「人間ドックのお金は無駄だった」と言っていますが、健康だからこそ言えるセリフです。
人間ドックは特に若い方は毎年受ける必要はないと思います。
でも5年に1回くらいは最低でも受けた方が、早期発見につながります。
様々な病気の“種”が出てくる40代以降は2・3年に1回のペースをおすすめします。
基本的なプランは3・4万円です。
40代以降で2年に1回受けると考えても、1か月2,000円で24か月では4万8千円です。
それで重大な病気が早く見つかるなら安いものではないでしょうか?
人生100年時代ですから、できるだけ大病せず元気で過ごしたいものですね。