自然菜園をやるなら草マルチは欠かせません。 しかし、草マルチをする雑草が生えなかったり、雑草を生やすことができない畑の場合もあるでしょう。
そんな時は緑肥作物を使って、草マルチを行うと効果的です。
そこで今回は、緑肥作物の効果と活用方法、注意点について解説していきます。
草マルチについて知りたい人は、まずはじめにこちらをご覧ください。
緑肥・緑肥作物とは
自然菜園の草マルチに使用したり、土にすき込んで堆肥や肥料にする草のことを「緑肥(りょくひ)」といいます。 そして緑肥に用いる作物のことを「緑肥作物(りょくひさくもつ)」といいます。
緑肥作物は、根の力で土壌を改善したり、茎葉を土にすき込んで堆肥や肥料にします。
草マルチにする場合には、緑肥作物をすき込まずに刈り取って使用します。野菜の苗の周りや畝に敷くことで土壌生物が活動しやすくなり、土壌改善などの効果を発揮させるのが目的です。 また、害虫対策にも効果を発揮してくれます。
草マルチについては、以下の記事をご覧ください。
緑肥になる作物とその効果
緑肥作物の多くは家畜の飼料になる牧草で、「イネ科」と「マメ科」の2種類に分類されます。
イネ科緑肥
イネ科の緑肥作物としてよく育てられている品種には以下のようなものがあります。
イネ科の緑肥作物
- ライムギ(1年草)
- エンバク(オーツ)(1年草)
- イタリアンライグラス(多年草)
- オーチャードグラス(多年草)
イネ科の作物が青いうちは、15㎝ほど残して刈るようにすれば、2〜3回は再生して使えます。
イネ科緑肥の効果
イネ科の緑肥作物の特徴は、地中深くまで毛細血管のような根を張ることです。 その結果、団粒構造を作る手助けに一役かっており、さらに害虫であるセンチュウ対策や連作障害も防いでくれます。
また、野菜が吸収する養分の供給調整を行ったり、苗の風よけや地温上昇を抑えてくれる効果もあります。
さらに、野菜に被害をもたらすネコブセンチュウなどの天敵であるアメーバ(パスツーリア菌)の住処にもなります。
イネ科の中ではライムギがおすすめ
水はけの悪い畑や腐植が少ない畑では、イネ科の中でも特にライムギが効果的です。
ライムギは寒さに強く、2m以上も深く根を張り、大量の有機物を作るので土壌改善には特に効果を発揮します。
マメ科緑肥
マメ科の緑肥作物としてよく育てられている品種には以下のようなものがあります。
マメ科の緑肥作物
- クリムソンクローバー(ストロベリーキャンドル)(1年草)
- 赤クローバー(アカツメクサ)(多年草)
マメ科の緑肥作物は、根に根粒菌が共生するので、土に必要な窒素作りの手助けをする効果があります。
ちなみに、クローバー類を踏むと、上に伸びなくなる代わりに横に広がる性質があります。 草マルチとして刈るにはある程度の背丈がほしいので、30㎝程度に伸びるまでは踏まないように注意しましょう。
まく場所を選ぶ緑肥
まく場所を選ぶ必要がある緑肥作物には以下のようなものがあります。
まく場所を選ぶ必要がある緑肥作物
- ヘアリーベッチ(マメ科:1年草)
- 白クローバー(マメ科:多年草)
- ミント、ハーブなど(シソ科:多年草)
これらは、地面を這うように地下茎を伸ばすので他の草を抑制しますが、その反面、繁殖力が非常に強いので、大事な野菜まで抑制する危険があります。
そのため、これらは場所を選んでまく必要があるので注意しましょう。 どうしてもまきたい人は、次のポイントをおさえておきましょう。
種をまくときのポイント
- ヘアリーベッチは一列にまく
- 白クローバーやミント類は、土手などにまく
ヘアリーベッチは種子が地面に落ちる前に、花が咲いたら根元からすべて刈り取ります。野生化すると手に負えないので、十分に気を付けましょう。
白クローバーやミント類は、毎年、生育範囲を拡大するので、種をつける前に刈り取ります。畑や菜園内に入ってしまうと手に負えないくらい繁殖するので注意しましょう。
おすすめの緑肥の活用方法
イネ科・マメ科とも春まきと秋まきができます。
マメ科のクローバー類は生育が遅いので、イネ科の緑肥作物と混ぜてまくと効果的で、長期間刈り取ることができます。
2~3月に植える
2~3月にイネ科の作物とマメ科の作物をミックスした種子を畑の中央通路にまきます。
このとき、大きくなるまで踏んではいけません。背丈が短くなり、横に広がるからです。
5~6月に1年草を刈り取る
4〜6月には、エンバクやクリムソンクローバーといった1年草が先陣をきって発芽するので、5〜6月頃に刈り取り、畝の草マルチにします。 この時の注意点として、10センチほど残すようにしましょう。
なぜなら、エンバクとクリムソンクローバーが群生している根本付近には、オーチャードグラスやイタリアンライグラス、赤クローバーなどの多年草が後追いで発芽するからです。
多年草がせっかく発芽したのに一緒に刈り取ってしまうと、枯れてしまう可能性があります。そのため、10センチほどの高さで刈り取るようにします。
その後は多年草を中心に草マルチにする
1年草の生長が終わると、しだいに多年草が1年草に代わって大きく成長するので、30㎝ほど残して刈り取り、草マルチにします。
以上が1年目の栽培方法で、2年間からは、多年草が生えてくるので種子をまく必要ありません。
緑肥作物を育てる時の注意点
緑肥作物は放置してしまうと雑草に近くなってしまうので、育てる場合には注意が必要です。
例えば、市民農園や貸し農園の場合、地域や場所によっては 「畑に雑草を生やしてはいけない」と自治体の条例や管理業者のルールとして決められていることがあります。
そのような場合には常に雑草を抜き、きれいにしておく必要があります。 そのため緑肥作物は育てられない可能性があります。 市民農園や貸し農園を借りている人は、必ず自治体や管理業者に緑肥作物を育てて良いか確認しましょう。
まとめ:緑肥作物で自然菜園を
今回は、緑肥作物の効果と活用方法、注意点について解説してきました。
緑肥作物は主にイネ科とマメ科の植物です。 イネ科は土を耕し、マメ科は窒素を補給してくれます。
緑肥作物の種をまく場合は、いろいろな種類を混ぜてまくこと効果的です。
緑肥をマスターして、自然菜園に近づけましょう。